浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

レイシオ・デシデンダイ 「先例」に拘束されなければならないのか?

平野・亀本・服部『法哲学』(42) 今回は、第5章 法的思考 第1節 法的思考とは何か 第5項 制定法主義と判例法主義 である 裁判官は、何を根拠に(何を判断基準として)判決を下しているのだろうか? もし裁判員になったら、何を根拠に判断することになる…

自由主義は、自分勝手やわがまま放題の別名ではないのか?

久米郁男他『政治学』(3) 今回は、第3章 自由と自由主義 第2節 古典的自由主義の展開 である。 自由主義とは、生命や財産や思想・信条に関する個人の自由を、他者に同等の自由を認めるかぎりにおいて最大限に認めようという思想である。リベラルな国家に…

デザインとは何か?

柏木博『デザインの教科書』(1) 第1章 デザインって何? 4つの視点が挙げられている。 (1) 心地良さという要因 (2) 環境そして道具や装置を手なづける (3) 趣味と美意識 (4) 地域・社会 である。 柏木の説明を聞く前に、この視点について言えば、デザイ…

知能指数(IQ) 監視と保護

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(6) 今回は、第7章 知能である。(第6章 性格 はパスする)。「知能」というのは、いささか問題含みのテーマである。 最初に本書の説明をざっとみて、その後、少し考えてみよう。 20世紀初頭、フランス政…

アノニマスとDDoS攻撃

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(22) アノニマスと市民的不服従の意味を再確認しておこう。 アノニマスとは、 インターネット上の匿名性や情報発信の自由を守ることを旗印に掲げ、これに制限や規制を加えようとする政府や団体、企業などにサイバー攻…

人権問題としてのいじめ

ハラスメント(4) 池田中の生徒自殺、地検に告発 福井の市民団体 池田町池田中学校で3月、男子生徒が担任らの指導を苦に自殺した問題で、福井市の市民団体「社会問題被害者救済センター」が21日、業務上過失致死の疑いで、当時の担任と副担任、校長の3人に…

草履虫に、「心」はあるのか?

木下清一郎『心の起源』(20) 抽象的な話で、言葉遊びに終わらないためには、例えば、「草履虫に心はあるのか?」というような具体的な問いを持っていることが必要だろう。抽象的な説明であっても、そのような問いに答えうるものなのかの観点からみていけ…

エリアス・ラーバニ(Elias Rahbani)

YYJT(9) 久しぶりのYYJTです。YYJTとは、優雅、安らか、上品、知的の意味です。今回は、エリアス・ラーバニ(Elias Rahbani、レバノン生まれ、1938-)です。(哀愁を感じさせる曲ですので、YYJTから外れるかもしれませんが、まあ、私の「お気に…

「自己労働→自己所有」というおかしな論理

立岩真也『私的所有論』(2) 第2章 私的所有の無根拠と根拠 第2節 自己制御→自己所有の論理 私的所有を正当化しようとする言説はどういうものか。 ロック(1632-1704)をはじめとする論者達が持ち出すのは、自己労働→自己所有という図式である。自己に属…