リアリティ
山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(34) 今回は、第4章 機械としての生命 第3節 自己増殖する機械 である。 これまでに、 遺伝子が外的に観察可能な形質の情報を担っていると考えるのは。外在的視点からの読み込みである。 遺伝子から…
山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(33) 今回は、第4章 機械としての生命 第2節 生命の機械論モデル である。 現代の生命科学は全て、デカルトに由来する機械論哲学を前提として構築されている。…カンギレムは、『生命の認識』所収の論…
ジム・ホルト『世界はなぜ「ある」のか』(番外) 「都合により」本書の読書ノートは中断します。いつ再開するかは未定です。 ********** 「都合により」という言葉は便利な言葉で、私は時々使います。「理由」を述べる必要がない時、述べたくない時に使いま…
山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(32) 今回は、第4章 機械としての生命 第1節 生命の分析 の続き(p.170~)である。 我々は「あるがままの記述」を理解できない 生命を構成するすべての分子の運動を記述することができれば、それは…
ジム・ホルト『世界はなぜ「ある」のか』(8) 今回は、第2章 哲学のあらまし の続き(p.56~)である。 前回は、「存在に対して渋面をつくる人」(「存在への難色」派)として、ショーペンハウアーが挙げられていたが、J.P.サルトルやJ.アップダイクもそう…
TOMOHIDE IKEYAのWEBサイト(https://tomohide-ikeya.com/)から、3枚の写真をピックアップしてみた。*1 https://tomohide-ikeya.com/adovertising https://tomohide-ikeya.com/moon https://tomohide-ikeya.com/wave IKEYAは述べている。 スキューバダイビ…
山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(31) 今回は、第4章 機械としての生命 第1節 生命の分析(p.164~)である。 前章 第4節(遺伝子は外的に観察された形質の情報を担うか)では、次のようなことが述べられていた。*1 前章の内容を覚え…
ジム・ホルト『世界はなぜ「ある」のか』(7) 今回は、第2章 哲学のあらまし の続き(p.50~)である。 「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか?」という問いを巡り、思想家の見方は3つに分かれて現在に至っている、とホルトはいう。次の3つである。…
山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(30) 今回は、第3章 二つの遺伝子 第4節 遺伝子は外的に観察された形質の情報を担うか(p.154~)である。 現在、一口に「遺伝子」と言われるものが、何らかの情報を担うものである点、その物質的実体…
ジム・ホルト『世界はなぜ「ある」のか』(6) 今回は、第2章 哲学のあらまし の続き(p.45~)である。 是非もない事実 五感が捉えることのできる証拠に基づく経験的真理は、科学研究の領分に属する。そして、なぜ世界が存在するのかという問いは、科学の…
山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(29) 今回は、第3章 二つの遺伝子 第3節 進化論・遺伝学における遺伝子概念(p.145~)である。 進化の総合説(ネオダーウィニズム)における遺伝子概念 ダーウィンの進化論は、自然選択によって生物…
ジム・ホルト『世界はなぜ「ある」のか』(5) 今回は、第2章 哲学のあらまし の続き(p.37~)である。 前回の最後に、 「無から」の創造という教義は、無という考えを純然たる存在論的可能性として認めるものだった。…その教義によって、「なぜまったく何…
山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(28) 今回は、第3章 二つの遺伝子 第2節 分子生物学における遺伝子概念の展開 の続き(p.138~)である。 1970年頃の分子生物学 DNA分子は、それを構成する塩基の配列によって、タンパク質のアミノ酸…
ジム・ホルト『世界はなぜ「ある」のか』(4) 今回は、第2章 哲学のあらまし である。 存在の謎の核心は、「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか?」という問いに尽きる。 この問いに答えようと努めることは、「人間の知性のとりわけ壮大な企て」であ…
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(76) ※ 当ブログのCOVID-19関連記事リンク集 → https://shoyo3.hatenablog.com/entry/2021/05/06/210000 以前(2021/6/5)、中屋敷均『ウイルスは生きている』の第2章 丸刈りのパラドクス のうち、「ウ…
ジム・ホルト『世界はなぜ「ある」のか』(3) 【目次】は、以下のとおりである。わくわくするようなタイトルが並んでいる。 第1章 謎との遭遇 第2章 哲学のあらまし 第3章 無の小史 第4章 偉大なる拒否者 第5章 有限か無限か? 第6章 帰納法を駆使す…
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(73) ※ 当ブログのCOVID-19関連記事リンク集 → https://shoyo3.hatenablog.com/entry/2021/05/06/210000 ウイルスを「病原体」としてしか見ない偏向した見方を改めることが必要であろう。 今回とりあげ…
山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(27) 前回は、フォン・ノイマンの「自己増殖オートマトン[自動機械]」の作り方の説明がよくわからずパスしたのだが、ちょっと気になるので、説明を聞いてみよう。(今も理解できていないのだが、記録…
ジム・ホルト『世界はなぜ「ある」のか』(2) 今回は、第1章 謎との遭遇 の続き(p.13~)である。 右派よりのテレビ番組で、脚の長い金髪美人タイプの司会者が、無神論者のヒッチンス(作家)を問い詰めた。 すべての世界が無から生まれたという考えは、…
山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(26) 今回も、第3章 二つの遺伝子 第2節 分子生物学における遺伝子概念の展開 の続き(p.136~)である。 自己増殖のパラドックス 自己増殖というのは、論理的にはちょっとしたパラドックスである、…
ジム・ホルト『世界はなぜ「ある」のか』(1) 最近(といっても、1~2年前)、BOOK-OFFでウロウロして、目についたのがこの本である。ジム・ホルトという名前は知らなかったが、タイトルにひかれた。本のタイトルは大事です。 ジム・ホルトはアメリカの…
山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(25) 今回は、第3章 二つの遺伝子 第2節 分子生物学における遺伝子概念の展開 の続き(p.130~)である。 分子生物学における遺伝子概念(続) デルブリュック*1をはじめとする初期の情報学派の研究…
2015_The+Key+in+the+Hand_Venedig+Biennale_Venedig_Photo+Sunhi+Mang_12 2020_The+Language+of+God_Gwangju+Biennale_photo+Lee+Se+Hyun_3 2018_installation_Absence+Embodied_AGSA_photo+by+Saul+Steed_43 2019_Sleeping+is+like+Death_Sunhi+Mang 2019_…
山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(24) 今回は、第3章 二つの遺伝子 第2節 分子生物学における遺伝子概念の展開 の続き(p.126~)である。 遺伝暗号を担う非周期的結晶 「遺伝暗号を担う非周期的結晶」とはどのようなアイデアであっ…
山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(23) 今回は、第3章 二つの遺伝子 第2節 分子生物学における遺伝子概念の展開(p.121~)である。 分子生物学の登場と量子力学 分子生物学の成立は、遺伝子の物質的実体を探求するという20世紀初頭以…
山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(22) 今回は、第3章 二つの遺伝子 第1節 「遺伝子」概念の登場 (p.116~)である。 メンデルにおける遺伝子概念*1 メンデルは、遺伝現象の原因となる「原基」を仮定した。 メンデルの言う「原基(遺…
山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(21) 今回は、第2章 生物学の成立構造 第2節 「生物学」の登場 の続き(p.102~)と第3節 分子生物学と生気論である。 その前に、ちょっと復習。 「生気論」とは、「生物には通常の物質とは異なる特…
山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(20) 今回は、第2章 生物学の成立構造 第2節 「生物学」の登場 の続きで、「分子」についてである(p.98~)。 生物における多型(形質の多様性)の原因となるものは、理論が要請する「仮想的なもの」…
山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(19) 今回は、第2章 生物学の成立構造 第2節 「生物学」の登場 の続きで、「生気論」についてである。 但し、本書ではなく、池田光穂と米本昌平の解説を読むことにする。 生気論を、オカルトあるいは…
2020/2/9のNHK日曜美術館で、写真家ソール・ライター(Saul Leiter、1923-2013)がとりあげられていた。 まず、番組で紹介された写真とネット検索した写真の中から、ソール・ライターらしいと思われる以下の4作品をあげておきたい。 ① 板のあいだ 1957年 ht…