浮動点から世界を見つめる (旧:気の向くままに)

井蛙は以って海を語るべからず、夏虫は以て冰を語るべからず、曲士は以て道を語るべからず

リアリティ

運動知覚 運動視の錯視 アート

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(19) 今回は、第11章 知覚 のうち、「動きの知覚」である。専門用語の説明は、問題意識なく聞いても、右から左に抜けていくものだが、ちょっとだけ引用しておこう。 運動知覚 対象の動きの知覚、対象の位…

遺伝子概念の揺らぎ

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(3) 今回は、第1章 生命科学の急発展と「遺伝子」概念の揺らぎ 第2節「遺伝子」概念の揺らぎ である。イントロとして、「遺伝子操作ベビー」と「美女遺伝子」について触れようかとも思ったのだが、本節…

奥行きの知覚 遠近法 日本の秋景色

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(18) 今回は、第11章 知覚 のうち、「奥行きの知覚」である。 奥行きの知覚 「網膜の2次元像から、いかにして3次元像を知覚するのか?」というのが最初の問いである(写真や絵画やテレビなどは2次元)…

ポスト・ゲノム時代 合成生物学 人工生命

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(2) 今回は、第1章 生命科学の急発展と「遺伝子」概念の揺らぎ 第1節 ゲノム科学の進展と現状 の続きである。 ゲノム・プロジェクト以後の時代(つまり現代)を、ポスト・ゲノム時代と呼ぶそうである。…

形の知覚 エッシャーの「昼と夜」 ゲシュタルトの法則 「ブルータリズム」のウェブデザイン

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(17) 今回は、第11章 知覚 の「形の知覚」である。 例えば、次の絵を見て下さい。 Allison Stewart, Paysage 3, oil and mixed media on canvas, 48 x 36" https://www.houzz.jp/projects/2572255 これを…

ヒトゲノムの完全解読 その後は?

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(1) 今回から、『ひとは生命をどのように理解してきたか』を読むことにする。本書の構成は、 序章 生物学と哲学 第1章 生命科学の急発展と「遺伝子」概念の揺らぎ 第2章 生物学の成立構造 第3章 二つの…

幸せホルモン アタッチメント理論 皮膚感覚の身体化認知

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(16) 今回は、第10章 感覚 のうち、「皮膚感覚」である。 皮膚感覚は、全身の皮膚に感覚点が点在していて、そこにある受容器に接触する刺激があると、神経の信号として脳に伝えられることにより生じます…

生きているとはどういうことか? もう一度根元的な問いを問い直すこと

木下清一郎『心の起源』(27) 第6章(最終章)は、「心の未来はどうなるか」である。 [前章までで]ひとまずの結果は得られたとして、筆を止めても良いのかもしれない。しかし、心の世界についてはなお気がかりなことが残っている。それは例えば、心の世…

心の世界 入れ子 壺中の天

木下清一郎『心の起源』(26) 今回は、第5章 心の世界を覗きみる 第6節「心は一つの世界をなしている」である。 「生物世界」と「心の世界」が、次のように対比されている。 生物世界 心の世界 特異点 核酸の出現 統覚の出現 基本要素 遺伝子 表象 基本…

音感覚の心理学(声と種の存続、音の風景、BGM、錯聴)

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(12) 今回は、第10章 感覚 のうち、「音を聞くしくみ」である。 音は、空気や水、物体などを伝わる振動である。音はさまざまな物理的な性質を持っているが、特に、1秒間に繰り返す振動の回数のことを周波…

表象の動きに対して制約を加えるもの

木下清一郎『心の起源』(25) 今回は、第5章 心の世界を覗きみる 第5節「自己展開をなし得る」である。 自己展開の特異性 新しい世界の出現はすでに3つの前提[①特異点、②基本要素、③基本原理]によって保証されているにもかかわらず、それが実際に動き…

色感覚 マリンハチェットフィッシュは、どんな色を見ているのだろうか?

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(11) 今回は、第10章 感覚 のうち、「色感覚」をとりあげよう。「色」に関する話題は幅広く(Wikipedia参照)、色感覚以外の色の話のほうが面白いのだが、本書から離れすぎるので、別途としたい。 人間に…

基本原理としての抽象

木下清一郎『心の起源』(24) 木下は、世界が開かれるための4条件(世界の始まりを考えるための4つの要請)として、①特異点、②基本要素、③基本原理、④自己展開を考えていた。今回は、第5章 心の世界を覗きみる 第4節「基本原理としての抽象」である。…

あなたは本当に性的被害者なのか? ショッピングモールの迷子 

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(10) 本書では、第8章 ストレスとメンタルヘルス の「心理病理はなぜ起こるか-精神分析学の説明」の項で、また第9章 カウンセリングと心理療法 の「フロイトと精神分析療法」の項で、フロイトの精神分析…

基本要素としての表象

木下清一郎『心の起源』(24) 本書は漫然と読んでいても面白くない。「人工物(機械、AI)は、心を持てるのか?」、「心の世界は、本当に存在するのか?」というような問いを持っていると面白いのではなかろうか。期待外れになるかもしれないが…。 今回…

心の扉はノブが内側にしか付いてはいない。だから、真正面からの正攻法では、相手は心の扉を開いてはくれません。

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(9) 今回は、第9章 カウンセリングと心理療法 のうち、「クライエント中心療法」をとりあげよう。最初、本書やwikipediaや脳科学辞典の説明を読んでも、興味を持てないのでパスしようと思ったのだが、まと…

統覚(心の世界を開く特異点)

木下清一郎『心の起源』(23) 今回は、第5章 心の世界を覗きみる 第1節 心をその働きからみる と 第2節特異点としての統覚 である。 心の働く「場」を構成している要素は、どうやら生物世界に属しているらしい。…心とは、その「場」をみる限りでは生物…

うつ病 認知の歪みを正す

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(8) 今回は、第9章 カウンセリングと心理療法 である。「心理療法」とは、どういう意味だろうか。前章で、「心理病理*1」について、原因からの心理病理の分類がされていた。 ①外因性(器質性)…脳血管性精…

統覚(統合能力)とは

木下清一郎『心の起源』(22) 今回は、第4章 心のはたらく「場」 第3節 統覚なしには心は生まれない である。 統合能力の存在 自己回帰が働くと、瞬間の堆積はやがて時間となり、位置の堆積はやがて空間になると述べた(時空の特性)。また、原因と結果…

「こころの病気」とは何か?

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(7) 第8章は、「ストレスとメンタルヘルス」であるが、本書によらずに、厚労省のサイト「みんなのメンタルヘルス」とwikipediaの記述に従って、「メンタルヘルス」について概観しておこう。最初に「みん…

記憶から、時間・空間、論理、感情が導き出される

木下清一郎『心の起源』(21) 今回は、第4章 心のはたらく「場」 第2節 時空・論理・感情 で、「記憶と照合の相互作用によって情報の自己回帰が始まり、そこから時空・論理・感情の特性が生みだされる」という話である。 記憶と自己回帰 記憶と照合の二つ…

草履虫に、「心」はあるのか?

木下清一郎『心の起源』(20) 抽象的な話で、言葉遊びに終わらないためには、例えば、「草履虫に心はあるのか?」というような具体的な問いを持っていることが必要だろう。抽象的な説明であっても、そのような問いに答えうるものなのかの観点からみていけ…

「自己複製(増殖)に含まれる矛盾」から「生命世界」が開かれる?

木下清一郎『心の起源』(19) 今回は、第3章 「世界」とは何か 第4節 自己矛盾から世界は開かれる である。本節で主張されていることは、「自己複製(増殖)に含まれる矛盾」から「生命世界」が開かれる、ということであろう。これはどういう意味だろう…

自己増殖がかかえる矛盾

木下清一郎『心の起源』(18) 今回は、第3章 「世界」とは何か 第3節 自己増殖がかかえる矛盾 である。 自己触媒と自己複製 考えてみれば、自己触媒の働きとは随分と奇妙なものである。自己触媒とは自らの構造に依存した機能であるのに、その構造を変化…

生物世界と物質世界とは、連続しているのか? 不連続なのか?

木下清一郎『心の起源』(17) 前回は、世界が開かれるための4条件(世界の始まりを考えるための4つの要請…特異点、基本要素、基本原理、自己展開)を、物質世界にあてはめてみたらどうなるかであった。次に、この4条件を生物世界にあてはめてみたらど…

愛着障害 スキンシップがないと……

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(2) 今回は、第3章 心の発達-乳幼児期の心理 のうち、「愛着」をとりあげよう。 あなたのまわりに次のような大人はいませんか? A1 傷つきやすい A2 怒りを感じると建設的な話し合いができない A3 過去…

世界が開かれるための4条件

木下清一郎『心の起源』(16) 今回より、第3章 「世界」とは何か である。木下は、本章冒頭で次のように言う。 議論を先へ進める前に、まずはっきりさせておかねばならぬことがある。物質世界を超えたところに生物世界が開かれ、生物世界を超えたところ…

生物としての人間

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(1) 第1章は、心理学とは-歴史と方法 なので省略し、第2章 心の進化-動物としての人間 から見ていくことにします。(なお、以下の引用は、「です、ます調」から「である調」に変更します。) 動物にも…

心の働きの最初の兆候を、行動の能動性の発揮という点に認めるとするならば、それは記憶の成立から始まる

木下清一郎『心の起源』(15) 今回は、第2章 心の原点をたずねる 第6節 負の記憶・空白の記憶・正の記憶 である。これまでの「まとめ」でもある。 本節を読んで、木下の言わんとすることがようやく少し分かってきたような気がする。(以下に述べること…

パヴロフの犬

木下清一郎『心の起源』(14) 第2章 心の原点をたずねる 第5節 生得的情報から自発的行動へ の続きである。 条件反射 動物がある刺激を受けると、否応なしに一定の反応が起こってしまうことがある。これは生得的反射であって無条件反射と呼ばれる。これ…