2015-01-01から1年間の記事一覧
金杉武司『心の哲学入門』(11) 金杉は、「心の状態は、いかにして何かを表象する[表す]のか?」について、因果的説明と目的論的説明をしている。まず因果的説明について、 心の状態XがYを表象するのは、YがXの原因であり、両者の間に安定した相関…
加藤尚武『現代倫理学入門』(3) J.S.ミルの有名な言葉、「満足した豚であるより、不満足な人間である方が良く、満足した馬鹿であるより、不満足なソクラテスである方が良い」を知っている人は多いだろう。「満足した豚」とは、感覚的な=肉体的な=低級な…
大岡信『抽象絵画への招待』(14) 大岡は「都市の変貌」について、こう書いている。 都市が絵画の中でそれ自身魅力的なモティーフとなったのは、そう古いことではない。…デュシャン、ピカビア、レジェ、ドローネーら、傍流キュビストたちと、イタリア未来…
ラマチャンドラン,ブレイクスリー『脳のなかの幽霊』(15) サヴァンや天才はどのようにして生まれるのか? 遺伝と関係あるのか? (サヴァン症候群とは、「精神障害や知能障害を持ちながら、ごく特定の分野に突出した能力を発揮する人や症状」をいう) ラ…
平野・亀本・服部『法哲学』(7) 生存権や中絶の権利を考える前に。…権利とは、「一定の利益あるいはその利益を守ろうとする意思が、法によって承認され、その実現について国家機関、とくに裁判所による保障を与えられているもの」。 では、法があるから権…
YYJT(6) YYJT(優雅で、安らかで、上品で、知的)な曲(その6)。今回は、MEHDIです。 1 Flight of the Angels www.youtube.com 次の絵は、同じ曲ですが https://www.youtube.com/watch?v=js4SjRSYLS0 の画家Valery Tsukakhinのものです。 2 Fir…
齋藤純一『公共性』(12) 社会国家(福祉国家)は、いまどのように変容しつつあるのか。 社会国家を変容させているファクターは多岐にわたり、もとより国によっても事情は異なるが、その最大の要因は、「経済的なもの」と「社会的なもの」とが互いに背を…
金杉武司『心の哲学入門』(10) 今回は、第3節「志向性とクオリア」である。 志向性と意識 金杉の文章には、「~ように思われる」が多用されているが、冗長なので以下それを省略して引用することにする。 われわれは非意識的な欲求や信念を持つことがで…
加藤尚武『現代倫理学入門』(2) 「してよいこと」と「して悪いこと」の違いを明らかにするのが、倫理学の目的であって、言葉を換えれば「許容できるエゴイズムの限度を決めること」が、倫理学の課題である。 功利主義のすぐれた点は、行為の評価基準を行…
風花(かざはな、かざばな)とは、「晴天に、花びらが舞うようにちらつく雪で、山岳地帯の雪が上層気流に乗って風下側に落ちてくるもの」(デジタル大辞泉)だそうです。 こんな記事がありました。http://www.bionet.jp/2011/12/iro21-2/ 日本列島に、大陸か…
大岡信『抽象絵画への招待』(13) ヴォルス(Wols、1913-1951) Wikipediaによると、ヴォルスの生涯は次のようなものだった。 ヴォルスことアルフレート・オットー・ヴォルフガング・シュルツェは1913年、裕福なプロテスタントの家庭の息子としてベルリン…
ラマチャンドラン,ブレイクスリー『脳のなかの幽霊』(15) 音楽や美術や文学の才能は、「自然選択説」で説明できるのだろうか? ラマヌジャンのタクシー数。
平野・亀本・服部『法哲学』(6) 今回は、権利と義務という最重要な概念を検討する。 12月に予定されていた「表現の自由」に関する国連特別報告者の来日調査が、日本政府の要請で来年秋以降に先送りされたという事件。
岡田暁生『音楽の聴き方』(4) それまで単なる抽象的な音構造としか見えなかったものが、これらの言葉がそこに重ねられるや否や突如として受肉される。体温を帯びた生身の肉体の生きた身振りとなるのである。 わざ言語(生田久美子) 平原綾香のモルダウ mol…
齋藤純一『公共性』(11) 「社会国家」という言葉を、(厳密には違うかもしれないが)「福祉国家」と同じ意味と理解しておこう。 社会国家が資本制経済の進展を条件として、それが惹き起こすさまざまな負の効果への対応として成立したという事情をまず踏…
以下に、2014年と2015年の高校の試験問題を掲載します。これは実際の試験問題で、理系、文系問わず必須です。どこの学校の試験問題かは後で書きます。これに合格しないと、高校卒業の資格は与えられません。 問題は、どれか1つのテーマを選んで論述しなさい…
金杉武司『心の哲学入門』(9) 私はいま、ラマチャンドランの『脳のなかの幽霊』を同時に読み進めている。テーマはいずれも「心と物」である。ラマチャンドランのほうは非常に面白い。神とかいろいろ持ち出してきているが、結局のところ、心というのは脳(…
私は、難民問題は世界で最も深刻な問題だと考えています。子どもたちをはじめ、多くの人々の生存権が脅かされていることが一番の問題であり、これにどう向き合うべきかが私たちに問われています。持続可能で平和な世界を希求してやまないファーストリテイリ…
「政治家や宗教関係者、文化人、芸術家、あるいは経済界」の見識が問われている。 小田嶋は、短期と長期の対策が矛盾していると言っているが、私は矛盾しないのではないかと考えている。。
加藤尚武『現代倫理学入門』(1) ベンサムとミルは、「功利主義」をどのように定義しているか。 「望ましいもの」とは何か。
私たちは、どういう世界に住んでいるのか? ある町に住み、ある市に住み、ある国に住み、ある地域(ヨーロッパ、アジア、アフリカ、アメリカ、オセアニア等の区分)に住み、そして世界に住んでいる。パリ同時多発テロは、ある町、ある市、ある国、ある地域、…
以下は、現時点での私見(仮説)である(順不同)。誤りがあれば、今後訂正していきます。 1.ISは「カルト集団」である。 社会に対して不満を持ち、将来に絶望している人たち、そして「生きがい」を喪失している人たち、彼らを「神秘思想(スピリチュア…
大岡信『抽象絵画への招待』(12) 大岡は、静物画について、次のように述べている。 西洋の言葉で「静物」を指す語がnature morte(死んだ自然)であったり、still life(静止した生命)であったりすることは意味深い。静物画は、これらの語が意味してい…
青春グラフィティ 22才の別れ 悲別 風 川野夏美。 フォークと艶歌の違いはありますが、(恐らく)モチーフが同じなので、私には同じように聞こえます。 人はよく「現在」が「過去」とは大きく違った時代であるかのように言い立てるが、果たしてどうなので…
ラマチャンドラン,ブレイクスリー『脳のなかの幽霊』(14) 今日、「神経科学」は、急速に進歩しつつあるようだ。Wikipediaによると、 神経科学は脳と心の研究の最先端に位置する。神経系の研究は、人間がどのように外界を知覚し、またそれと相互作用する…
平野・亀本・服部『法哲学』(6) 服部は、「法を1つのシステムとみる見方に立って、法現象の静態と動態を分析」している。ここでシステムとは、 多数の要素とそれらの関係からなる複合体であり、ある特定の社会的機能を果たすことによって外部に働きかけ…
V-POPに続き、今回はC-POPです。 尖閣諸島や南シナ海で、反中感情をあおってばかりいないで、今回紹介するような C-POP歌手を呼んで、楽しませてほしいものですね。ポップスは全世界共通のように思います。 1.關詩敏 シャロン・クワン Sharon Kwan (1995/…
岡田暁生『音楽の聴き方』(3) 例えば、東京オペラシティのコンサートホールで、オッコ・カム指揮のフィンランド・ラハティ交響楽団によるシベリウス交響曲を聴くということは、何を意味するだろうか。…宗教体験、音楽批評、沈黙の聖化。…私たちは、「語る…
齋藤純一『公共性』(10) 「潜在能力」とは、ある人に実質的に開かれている「生き方の幅」、つまり「人々が行いうること・そうでありうること」の範囲を意味する。 この尺度を用いれば、いわゆる先進国に暮らしている人々の生からどのような生き方が奪わ…
金杉武司『心の哲学入門』(9) 金森は「心とは何か? それはどのような存在なのか?」と問うている。そして、「心とは~である」と一気に答えるのではなく、心が持っているさまざまな基本的特徴に着目することによって、この問題について考える足掛かりを…