2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧
大岡信『抽象絵画への招待』(17) 大岡は、絵画における「純粋主義」について、こう書いている。 純粋主義の思想とは、…19世紀後半、画家のモーリス・ドニが、絵画というものを、「ある一定の秩序のもとに集められた色彩によって覆われた平坦な面」と定…
ラマチャンドラン,ブレイクスリー『脳のなかの幽霊』(18) 前回と前々回の「なぜ男性はブロンドを好むのか?」の話は、本書第10章の「笑い死にをした女性」のなかにある話である。この話のあと、ラマチャンドランは、まじめに「笑い」について考察して…
平野・亀本・服部『法哲学』(10) 服部は、「自由への正当な干渉」の第2候補として、リーガル・モラリズムを挙げている。 第2に、売春や猥褻文書頒布などの道徳犯罪に関して、法による道徳の強制、すなわちリーガル・モラリズムの是非が問われる。 リー…
岡田暁生『音楽の聴き方』(7) 今回から、第3章「音楽を読む-言語としての音楽」である。(第2章は、「音楽を語る言葉を探す-神学修辞から「わざ言語」へ であった)。「音楽を読む」とは、面白い表現である。岡田は「言語」にこだわっているので、何…
小保方晴子の手記「あの日」に対して、関係者が沈黙を守り、これを無視している(2016/2/20現在)ことは、「人としての誠実さ」が欠けていると思う。 とりわけ、小保方が研究不正を働いたと断罪した人は、(小保方が実際に研究不正を働いたか否かに関わらず…
自民党の参議院議員の丸山和也の参院憲法審査会(2016/2/17)での発言が問題になっている。 まず、どういう発言をしたのか、その内容を紹介しよう。 憲法上の問題でもありますけれど、ややユートピア的かもわかりませんけれども、例えば、日本がですよ、アメ…
吉成真由美『知の逆転』(3) 今回は、ノーム・チョムスキーへのインタビューの2回目。 吉成…(オバマ大統領は)予備選挙の最中に、あるインタビューで、「もし自分がアタックされた場合は、素早く、強く、正直に、真実のみを語ることによって反撃する、な…
齋藤純一『公共性』(15) 今回から、第4章 親密圏/公共圏であるが、まず「愛の共同体」としての「家族」が話題になっている。齊藤の論述を見ていく前に、一般的な「家族」概念を確認しておこう。 婚姻によって成立した夫婦を中核にして、その近親の血縁…
金杉武司『心の哲学入門』(13) 前回は、消去主義と解釈主義の話だった。これは何の話だったのか、復習しておこう。 心脳同一説 各タイプの心の状態は、特定のタイプの脳状態と同一である。 機能主義 各タイプの心の状態は、特定の機能で定義される状態で…
とある居酒屋でのこと。オジサンたちは、小保方の手記「あの日」で、すごく盛り上がっていました。ご紹介しましょう。 「なぜ、若山や理研はダンマリを決め込んでいるのだろうか?」 「もう済んでしまった事件だからでしょ。別に訴えられたわけでもなく、反…
加藤尚武『現代倫理学入門』(5) 加藤は、功利主義(最大幸福原理)の欠点を5つ挙げていた。(功利主義(4)「幸福」の追求は、望ましいことなのか?参照) 単一原理主義の破綻…「行為や制度の社会的な望ましさ」を考える際の原理は、幸福だけではない。…
大岡信『抽象絵画への招待』(16) 加納光於(かのうみつお、1933-)。昭和後期から平成時代の版画家、画家。胸を病み中学を中退。独学で銅版画を始める。1955年第1版画集を制作。1956年滝口修造企画監修のタケミヤ画廊で初個展を開く。1961年サン・パウ…
過(あやま)ちては、改むる(あらたむる)に、憚る(はばかる)こと、勿れ(なかれ)。 「故事ことわざ辞典」(http://kotowaza-allguide.com/a/ayamachitearatamuru.html)によると、 意味…過ちては改むるに憚ること勿れとは、過ちを犯したことに気づいた…
ラマチャンドラン,ブレイクスリー『脳のなかの幽霊』(17) 前回、ラマチャンドランの「なぜ男性はブロンドを好むのか?」という論文を紹介した。どういう内容だったかと言うと、(ラマチャンドラン自身これを要約している) 男性がブロンドを好むのは、生…
小保方晴子の手記「あの日」が、マスコミ(テレビ、大新聞)に無視されたままになるということは何を意味するだろうか。 抑圧された見解が真実であれば、真実を知る機会を失う。[抑圧された見解が]真実でないとしても、真実に対抗させることで、真実を際立…
平野・亀本・服部『法哲学』(9) 服部は、法的規制の正当性とその限界について、次のように述べている。 公権力機関による強制の正当性が問われるとき、人々の自由への正当な干渉の形態として、まず第1に挙げられるのは、古典的自由主義者ミルが『自由論…