浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

マタイ効果:持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は、持っているものまで取り上げられるであろう。(マタイ福音書13章12節)

阿部彩『弱者の居場所がない社会-貧困・格差と社会的包摂』(6) 今回は、第4章 本当はこわい格差の話 第5節 格差の増幅 のうち、「マタイ効果」をとりあげよう。 「マタイ効果」とは、「格差は自ら増長する傾向があり、最初の小さい格差は、次の格差を…

美女遺伝子 ミス・キャンパス DNA婚活 イモ掘り婚活

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(4) 今回は、第1章 生命科学の急発展と「遺伝子」概念の揺らぎ 第2節「遺伝子」概念の揺らぎ の続きである。 本書ではふれていないが、まず「美女遺伝子」の話題から。次の画像を見て下さい。 https://…

音楽と絵画のコラボレーション(洋楽)

YYJT(18) 1.Cayetano ~ Fairy Tales/DJ Ravin Ivan Slavinsky (1) http://www.soseul.pe.kr/xe/index.php?mid=Aura&document_srl=130842&listStyle=viewer&page=43 Ivan Slavinsky (2) http://www.soseul.pe.kr/xe/index.php?mid=Aura&document_srl=130842&…

良識ある人間は、「他者性の破壊を抑制しようとする感覚」を持ち合わせているだろう。

立岩真也『私的所有論』(14) 今回は、第4章 他者 第1節 他者という存在 第1項 制御しないという思想 である。 先に見た私的所有を正当化しようとする言説は、あるものがある人が作り出し制御するものであることによって、そのものがその人のものである…

28歳ローラの政治的影響力

インスタグラムで520万人のフォロワーを持つローラ(タレント、モデル)が、辺野古基地反対署名*1を呼びかけ話題を呼んでいる。この署名には、沖縄出身のタレント・りゅうちぇるをはじめ、ウーマンラッシュアワーの村本大輔、ミュージシャンであるASIAN KUNG…

フェミニズムと多文化主義 問われる自由主義的な法秩序構成

平野・亀本・服部『法哲学』(54) 第6章 法哲学の現代的課題 第2節 同一性と差異 である。 人は、同じ人間であっても、性別、民族、人種、国籍、宗教、思想信条、年齢、健康、障害、能力、職業、趣味などの差異がある。そこには、同じ「人間」であるこ…

世界の中心で「君が代」を歌う

久米郁男他『政治学』(14) 今回は、第6章 市民社会と国民国家 第3節 ナショナリズムとコスモポリタニズム のうち、ナショナリズムをとりあげようと思ったのだが、どうも気分が乗らないのでやめにする。話題としては、ベネディクト・アンダーソンの『想…

世界はうつくしい

…… 風の匂いはうつくしい 渓谷の 石を伝わってゆく流れはうつくしい 午後の草に落ちている雲の影はうつくしい 遠くの低い山並みの静けさはうつくしい きらめく川辺の光はうつくしい おおきな樹のある街の通りはうつくしい 行き交いの なにげない挨拶はうつく…

運動知覚 運動視の錯視 アート

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(19) 今回は、第11章 知覚 のうち、「動きの知覚」である。専門用語の説明は、問題意識なく聞いても、右から左に抜けていくものだが、ちょっとだけ引用しておこう。 運動知覚 対象の動きの知覚、対象の位…

地域コミュニティ 明るい農村 ひるのいこい

阿部彩『弱者の居場所がない社会-貧困・格差と社会的包摂』(5) 今回は、第4章 本当はこわい格差の話 第3節 格差とコミュニティ をとりあげる。 地域コミュニティ 阪神淡路大震災後に、仮設住宅で多くの孤独死が起きてしまった反省もあって、東日本大震…

気の向くままに → 浮動点から世界を見つめる

私はブログを始めたとき、次のような文章を書きたかった。 梢の隙間を洩れて来る日光が、径のそこここや杉の幹へ、蠟燭で照らしたやうな弱い日なたを作つてゐた。歩いてゆく私の頭の影や肩先の影がそんななかへ現はれては消えた。なかには「まさかこれまでが…