浮動点から世界を見つめる (旧:気の向くままに)

井蛙は以って海を語るべからず、夏虫は以て冰を語るべからず、曲士は以て道を語るべからず

世界はうつくしい

…… 風の匂いはうつくしい 渓谷の 石を伝わってゆく流れはうつくしい 午後の草に落ちている雲の影はうつくしい 遠くの低い山並みの静けさはうつくしい きらめく川辺の光はうつくしい おおきな樹のある街の通りはうつくしい 行き交いの なにげない挨拶はうつく…

運動知覚 運動視の錯視 アート

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(19) 今回は、第11章 知覚 のうち、「動きの知覚」である。専門用語の説明は、問題意識なく聞いても、右から左に抜けていくものだが、ちょっとだけ引用しておこう。 運動知覚 対象の動きの知覚、対象の位…

地域コミュニティ 明るい農村 ひるのいこい

格差社会(11) 今回は、阿部彩『弱者の居場所がない社会-貧困・格差と社会的包摂』の第4章 本当はこわい格差の話 第3節 格差とコミュニティ をとりあげる。 地域コミュニティ 阪神淡路大震災後に、仮設住宅で多くの孤独死が起きてしまった反省もあって…

気の向くままに → 浮動点から世界を見つめる

私はブログを始めたとき、次のような文章を書きたかった。 梢の隙間を洩れて来る日光が、径のそこここや杉の幹へ、蠟燭で照らしたやうな弱い日なたを作つてゐた。歩いてゆく私の頭の影や肩先の影がそんななかへ現はれては消えた。なかには「まさかこれまでが…

遺伝子概念の揺らぎ

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(3) 今回は、第1章 生命科学の急発展と「遺伝子」概念の揺らぎ 第2節「遺伝子」概念の揺らぎ である。イントロとして、「遺伝子操作ベビー」と「美女遺伝子」について触れようかとも思ったのだが、本節…

私の臓器や性は、根本的なもので、譲渡してはならないものなのか?

立岩真也『私的所有論』(13) 今回は、第3章 批判はどこまで行けているか 第3節 交換と贈与について である。 贈与と売買の差異および共通性 臓器の売買を認めている国は無い。代理母契約についても大勢としては認められていない。 では、善意の提供は認…

YouTube後の「懐メロ」(ZARD、あさみちゆき、田川寿美)

YYJT(17) いまでは、テレビ、ラジオ、CDで音楽を聴くことはほとんどないです。インターネット普及後はインターネットラジオを聴いていたのですが、現在はほとんどYouTubeです。音楽としては、生演奏にはかなわないでしょうが、映像がプラスされているのがい…

民主制と人権 市民的自由とは?

平野・亀本・服部『法哲学』(53) 第6章 法哲学の現代的課題 第1節 デモクラシーとは何か の続きである。 投票制度としての民主制 経済学者の一部は、社会的選択理論と呼ばれる分野で、民主制を純粋な投票集計制度とみなして精緻な分析を展開している。……

人権とは何でしょうか? 谷川俊太郎訳の「世界人権宣言」

一昨日の記事(2018/11/17、セックスワーカーから繊維工場労働者へ ファストファッションの光と影 エシカル・ファッション)は、今回の「人権」の記事のイントロとして書いたものである。 ファストファッションの陰で起きている環境破壊や人権侵害、搾取。 …

セックスワーカーから繊維工場労働者へ ファストファッションの光と影 エシカル・ファッション

次の動画をご覧ください。エシカルファッション(ethical fashion)の話です。 鎌田安里紗「ベルリンの社会派ファッションショー」 エシカルファッションについて [モーニングCROSS] 2013年4月、バングラデシュの首都ダッカのラナ・プラザという縫製工場が倒…

市民社会の多義性 市民団体の可能性

久米郁男他『政治学』(13) 今回は、第6章 市民社会と国民国家 第2節 市民社会 である。本書を読む前に、植村邦彦*1に対するインタビュー記事<日本に「市民社会」は存在しないのか?>(2018/1/12) を参照しよう。 civil societyという言葉は、当初は…

色彩の心理効果(感情効果) 街路樹

デザイン(2) デザインの要素には、形状(2次元、3次元)、質感、空間(スペース)など種々あるようだが、色(カラー)もその一つである。色により大きく印象が異なる。絵画等のいわゆる芸術作品のみならず、日用品・備品や自動車・電車・航空機や建造物…

奥行きの知覚 遠近法 日本の秋景色

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(18) 今回は、第11章 知覚 のうち、「奥行きの知覚」である。 奥行きの知覚 「網膜の2次元像から、いかにして3次元像を知覚するのか?」というのが最初の問いである(写真や絵画やテレビなどは2次元)…

社会の仕組みが、人々をより孤立へ、排除へ、貧困へ、追い込んでいるのではないだろうか?

格差社会(10) 今回は、阿部彩『弱者の居場所がない社会-貧困・格差と社会的包摂』の第4章 本当はこわい格差の話 第1節 排除と格差、第2節 格差と人間関係 をとりあげる。 社会的排除とは、社会の中で「居場所」がなく、「役割」がなく、他者との「つな…

ブログ考

1988年、桑原武夫が無くなったとき、長田弘(1939-2015)は、その死を悼んで、一篇の詩を書いた*1。 桑原武夫(1904-88) えらそうな 物言いには (言うとるわ、言うとるわ) もったいぶった 物言いには (あほらし。あほらしやの鐘が鳴りまっせ) 思イ邪マ…

ポスト・ゲノム時代 合成生物学 人工生命

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(2) 今回は、第1章 生命科学の急発展と「遺伝子」概念の揺らぎ 第1節 ゲノム科学の進展と現状 の続きである。 ゲノム・プロジェクト以後の時代(つまり現代)を、ポスト・ゲノム時代と呼ぶそうである。…

keiko matsui(松居慶子)

YYJT(16) 松居慶子のミュージック・ジャンルは、「コンテンポラリー・ジャズ、ラテン・ジャズ、スムース・ジャズ、ジャズ・ポップス、フュージョン」である。フュージョンとは、「1960年代後半から現在に至るまでのジャズを基調にロックやラテン音楽、R&B、…

人工授精・体外受精等の生殖技術は、富裕層のためのものなのか? From Russia With Love

立岩真也『私的所有論』(12) 第3章 批判はどこまで行けているか は、人工授精・体外受精等の生殖技術への批判の言説を検討している。今回は、第2節 公平という視点 である。本章は、「人工授精・体外受精等の生殖技術」について議論しているが、これは…

自由主義とブルジョアジー(城壁の中の住民)

平野・亀本・服部『法哲学』(52) 現在、第6章 法哲学の現代的課題 第1節 デモクラシーとは何か を読んでいるところだが、今回は、本書を離れて、「自由主義(liberalism)」について、「ブリタニカ国際大百科事典」(以下B)と「日本大百科全書」(以下…

自由と民主主義

平野・亀本・服部『法哲学』(51) 今回は、第6章 法哲学の現代的課題 第1節 デモクラシーとは何か の続きである。 亀本(本節担当)は、自由とデモクラシーとの関係を以下のように述べている。 デモクラシーと自由 民主制は、支配者と被支配者の同一性と…

28歳テイラー・スウィフトの政治的影響力

今回は、第6章 市民社会と国民国家 第1節 「公」と「私」 である。…最初の二つは内容が無いので、そこを飛ばして、フェミニズムの項だけ見てもらっても構わない。トランプ大統領、テイラー・スウィフト、安倍首相、綾瀬はるか、石原さとみ

「読書ノート」で取り上げた本とその評価

これまで取り上げた本とその評価を書いていくことにします。 評価といっても、全くの主観的評価であり、あまり参考にしないでください。 評価は10点評価とします。最高10点、最低1点です。 なお、この記事は、随時更新します。(初出:2016/8/21、最新…

かたちの変換 トムソン(デカルト変換) 杉浦康平(時間のヒエラルキー)

デザイン(1) 森羅万象およそ「かたち」と称されるものは、生成、変容、消滅するもののように思える。それを「デザイン」のカテゴリーで語ることは一興であろう。 かたちの変換 デフォルメ―ションとも言われる「かたち」の変形・変換の代表的な手法には、…

形の知覚 エッシャーの「昼と夜」 ゲシュタルトの法則 「ブルータリズム」のウェブデザイン

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(17) 今回は、第11章 知覚 の「形の知覚」である。 例えば、次の絵を見て下さい。 Allison Stewart, Paysage 3, oil and mixed media on canvas, 48 x 36" https://www.houzz.jp/projects/2572255 これを…

私の居場所がない 社会的排除と包摂

格差社会(9) 阿部彩『弱者の居場所がない社会-貧困・格差と社会的包摂』の第3章 「つながり」「役割」「居場所」をとりあげよう。 社会的排除 人の生には、金銭的・物質的な指標では測れない、「質の問題」があることも事実である。ある程度の水準の金銭…

<「Aとも言えるが Bとも言える」は、何も考えていないだけ>なのだろうか?

たまたま、<「Aとも言えるが Bとも言える」は、何も考えていないだけ。>という記事が目に入ったので、これについて少し考えてみよう。 ブロガーの「ちきりん」さん(以下、Yと呼ぶ*1)が、こんなことを言っているらしい。検索してみたら、<「Aともいえる…

ヒトゲノムの完全解読 その後は?

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(1) 今回から、『ひとは生命をどのように理解してきたか』を読むことにする。本書の構成は、 序章 生物学と哲学 第1章 生命科学の急発展と「遺伝子」概念の揺らぎ 第2章 生物学の成立構造 第3章 二つの…

Helene Fischer、Isgaard、Katherine Jenkins、五輪真弓

YYJT(15) 1.The Power Of Love/Helene Fischer The Power Of Love - Helene Fischer (with lyrics) 2.Liebe dich/Isgaard Schiller Ein schoner tag Live mit Isgaard 3.Home/Katherine Jenkins Katherine Jenkins - Home 4.恋人よ/五輪真弓 이…

生殖医療技術と生命倫理 夫のものではない精子、妻のものではない卵子を使って子どもを持ちますか?

立岩真也『私的所有論』(11) 第3章 批判はどこまで行けているか は、人工授精・体外受精等の生殖技術への批判の言説を検討している。前回は、その内容をみる前の予備知識の収集で終わった。立岩は、このテーマを「私的所有・自己決定、市場への境界設定…

デモクラシーとは何か?

平野・亀本・服部『法哲学』(50) 今回は、第6章 法哲学の現代的課題 第1節 デモクラシーとは何か である。 「デモクラシー」という言葉の原義は、「民衆による支配」である。デモクラシーという言葉は、その制度面に着目するときは「民主制」と訳され、…