気の向くままに

形而上学・倫理学・法哲学・社会学・自然学・美学・その他諸々について書いてみたい幼稚園児のブログです。まあ、しかし焦らずにゆっくりと、気の向くままにいきましょう。

思考の落とし穴(モンティ・ホール問題と偽陽性問題)

(1)モンティ・ホール問題

2014/12/10のTBS水曜特番「林先生の痛快!生きざま大辞典SP」で、「世界を驚かせた天才たち」の特集があり、その中で世界一IQが高いというマリリン・ボス・サバントの紹介で「モンティ・ホール問題」が取り上げられていた。そこでちょっと気になることがあったのでメモしておこう。

モンティ・ホール問題とは、次のような問題である。

この問題は,米国の Monty Hall が司会を務めるゲームショー番組「Lets’ make a deal」の中で行われたゲームに関する論争に由来します。

回答者の前に3つの扉がある。1つの扉の後ろには新車(当たり)が置かれており,他の扉の後ろにはヤギ(はずれ)がいる。回答者は3つの扉からどれか一つを選ぶ。モンティ(司会者)は回答者が選ばなかった扉のうち,ヤギがいる扉を開けてみせる。司会者は回答者に,残った1つの閉じた扉を選び直しても良いと言う。

回答者が選ぶ扉を変えると当たりの確率が 2/3 になるのに対して,変えなければ当たりの確率は 1/3 であることを,米国のコラムニスト Marilyn von Savant が正しく指摘したのですが,「回答者が選ぶ扉を変えても変えなくても,当たりの確率は 1/2 である」と思い込む人が多く,モンティ・ホール問題と呼ばれるようになりました。[同様な問題に,ベルトランの箱のパラドックスや三囚人問題がある](井田隆 http://www.crl.nitech.ac.jp/~ida/education/math/monty-hall.pdf

普通に考えれば、残り2つから1つを選ぶのだから、確率1/2となり、あえて最初の選択から変更する必要はない。何が問題か。「モンティ(司会者)は回答者が選ばなかった扉のうち,ヤギがいる扉を開けてみせる」というところがポイント。モンティは、「意図的に」ヤギがいる扉を開けたのだが、「意図的」であることを読み取るのが難しい。「意図的」であることが明示(強調)されていれば、恐らく「条件付き確率」の問題であることが認識され、正解者が大幅に増えると思われる。ここでの教訓は、「前提条件が明確ではない問題」あるいは「前提条件を明確にしない問題」に対しては、ほとんどの人が誤った解答を出すだろうということ、それは単にゲームだけの話ではなく、ほとんどすべての政治・経済・社会問題について言えるだろうということである。

(2)偽陽性問題

偽陽性問題とは、次のような問題である。

人口の5%がある病気に罹っているとします。この病気に罹っているかどうかを確かめる検査があるのですが完全なものではなく、病気に実際に罹っている人が受けると90%の確率で陽性となり、病気に罹っていない人が受けると90%の確率で陰性と出ます。

【質問1】 ある人がこの検査を受けてみると陽性と出ました。この人が実際に病気にかかっている確率はどれだけですか? (解答:32.1%)

【質問2】 ある人がこの検査を受けてみると陰性と出ました。この人が実際に病気にかかっていない確率はどれだけですか? (解答:99.4%)(佐藤吉宗 http://togetter.com/li/474023

検査を受けて陽性と出たとき、「病気に実際に罹っている人が受けると90%の確率で陽性となり、病気に罹っていない人が受けると90%の確率で陰性と出る」検査だと言われたら、ほとんどの人は「あ~もうダメだ。やり残したことがいっぱいあるのに死ぬしかないのか」と思うだろう。しかし、実際に病気にかかっている確率は32.1%なのだ。これは、なかなか納得できない。

ポイントは「人口の5%がある病気に罹っているとします」にあるのだが、教わらないと我々凡人には理解できないですね。統計学を勉強した人なら初歩的な問題でしょうが…。ここでの教訓は、最初の「人口の5%がある病気に罹っているとします」が伏せられたままで、「精度90%の検査であること、検査結果が陽性だったこと」という事実から、ほぼ間違いなく病気にかかっていると思わせる欺瞞に引っかかってはならないということである。これは病気の検査だけの話ではない。特定の事実だけを取り出して、間違った結論を引き出すのは良くある話だ。隠された(隠れた)前提を見逃さない眼力が必要だ。