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気の向くままに

形而上学・倫理学・法哲学・社会学・自然学・美学・その他諸々について書いてみたい幼稚園児のブログです。まあ、しかし焦らずにゆっくりと、気の向くままにいきましょう。

アカマイ アノニマス ハクティビズム

吉成真由美『知の逆転』(10)

今回は、トム・レイトン(Tom Leighton、1956-)に対するインタビュー。アカマイ・テクノロジーズ社のサイエンティストを14年間務め、現在はCEO(最高経営責任者)。ネットワークへのアルゴリズムの応用において世界有数の権威。CEO就任前は、マサチューセッツ工科大学応用数学教授を務めていた。インタビューは、2011年6月。

アカマイ・テクノロジーズ社は、世界最大手のコンテンツ・デリバリ・ネットワーク (CDN) 企業である。CDN事業がどういうものであるか、レイトン自身がわかりやすく説明している。

アカマイ社は恐らく、「誰も知らないインターネット上最大の会社」というふうに表現していいかもしれません。…毎日13万件以上のウェブサイトが、アカマイ社を通じて配信されています。

[CDNが]どういう仕組みになっているかというと、まず誰かが自分のブラウザを使ってインターネットのウェブ上をいろいろ見て回って、あるサイトに行くとします。そのサイトがアカマイ社の顧客であった場合、その人のブラウザは、その人が住んでいる場所の近くにあるアカマイ社のコンピュータに誘導されます。そして、例えばショッピングをするとか、ホテルの予約をするとか、銀行の口座から支払いをするとかといった、全てのインタラクションすなわちその人が探していたページが、当該のサイトに直接アクセスせずに、実はアカマイ社のサーバーから供給されるのです。われわれは非常に速いスピードで、途中でデータが落ちたり盗まれたりすることなく、確実に望みの内容を配信します。当該のウェブサイトの持ち主が、われわれにお金を払って、そういう速く、確実で、安全なサービスを利用者に提供できるようにする。彼らのサイトの内容をアカマイ社の世界中のサーバーに入れておいて、誰かがその当該サイトにアクセスして来たら、それぞれのユーザーに最も近いアカマイ社のサーバーから、迅速に配信できるようになっているわけです。ほとんどのメディア関係企業、主要なeコマースサイト、世界10大銀行のうち9行、そしてほとんどの人が利用するメジャーなサイトは、多かれ少なかれわれわれの顧客です。

 

今回の記事では、サイバー犯罪について取り上げることにしたい。

さまざまなサイバー犯罪が、インターネット上で跋扈している状態で、我々はサイバー犯罪と日常的に闘っています。以前こういうことは、子供が注目を集めるために、家の地下室などでやったんですね。「ヘイ、やったぜ。このサイトをダウンさせて、ひとあわ吹かせてやった」と。現在は、ずっと深刻になっています。

ロシアや東ヨーロッパ、アジアの一部から、報酬目当ての組織的なサイバー犯罪が出てきていて、実際彼らは大金をせしめている。また、政治的な目的を持った「アノニマス」のような、ゆるい形態の政治的ハッカーたちもいます。興味深いのは彼らがけっこうな数のフォロワーを集めているということです。たくさんの人たちが、自分たちのやっていること、つまり抗議することはOKだと考えているということですね。米国では、憲法で守られている権利であり、こういった形で意見を表現することはいいことだと。

アノニマスといえば、仮面をかぶったハッカー集団というイメージがあるが、どういう組織なのか。

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http://blog-imgs-24.fc2.com/1/9/4/194mac/Anonymous_We_are_Legion_by_RockLou.jpg

 

その前に、「ハクティビズム」についてみておこう。

ハクティビズム(Hacktivism)とは、アクティビズム(activism,積極行動主義)とハック(hack)を組み合わせた造語。政治的な意思表示や政治目的の実現のためにハッキングを手段として利用する行為もしくはそのような行動主義的傾向を指して用いられる言葉である。

政治色の強いハッカーグループ「カルト・オブ・ザ・デッド・カウ(cDc)」のメンバーであった「オメガ」が1996年に提唱したのが始まりである。これを受けて、cDcは人間の基本的権利として言論の自由を享受する権利があること、またそのための条件として人々は情報への自由かつ平等なアクセス権を有することを指摘し、そのような権利が保障された社会の実現のためハッカーによる政治運動としてハクティビズムを提唱し、プロジェクトグループ "Hacktivismo"を始動させた。香港の反体制ハッカーグループ「ホンコン・ブロンド」が中国政府の検閲を破壊するための行動を行った際に彼らをハクティビストと認めて1998年に正式提携を結ぶなど、cDcはハクティビズムの下でインターネット上での政治的発言やソフトウェアリリースを通じたキャンペーンを展開していった。

cDcから穏やかに分裂したロフトのメンバーだったクリス・ワイソパルは「ハクティビズムの目的は、外国の人たちのために、政府の監視の目をくぐって、安全なコミュニケーションを図れるソフトウェアを開発する事でした。言論の自由という大原則を守る為です。要するに、誰もがインターネット上でコミュニケーションを取り、メッセージを発信できるようにすべきだということです。抑圧的な国家で人々が弾圧をおそれて口をつぐむ状況下では、その重要は増します。」と映画「We Are Legion」*1で述べている。(Wikipedia)

ハクティビズムの概念については、活動家の間で相違がみられるという。カナダの大学でハクティビズムを研究するアレクサンドラ・サミュエルは、3つに分類している。

  1. ポリティカル・コーディング…政治的な意図を持ってプログラミングを行うこと
  2. ポリティカル・クラッキング…時に法を無視してもサイバー攻撃などで政治的主張を行うこと
  3. パフォーマティブ・ハクティビズム…暴力的行為を伴わず、政治的効果の高い表現やアーティスト的な演出により意見表明をすること

アノニマスは、ポリティカル・クラッキングに分類される。(Wikipedia)

アノニマスについては、次回詳しく検討したいが、今回はハクティビズムの一類型とされていることを確認しておこう。言論統制に反対し、言論の自由を確保するために、プログラミングを行うということがベースになっていることを押さえておきたい。

 

*1:ドキュメンタリー「アノニマス~"ハッカー"たちの生態~ 1/5」(該当部分証言)。(Wikipediaでは、ワイソパルの言葉は一部省略されていたが、これを補充した。)