浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

生殖医療技術と生命倫理 夫のものではない精子、妻のものではない卵子を使って子どもを持ちますか?

立岩真也『私的所有論』(11) 第3章 批判はどこまで行けているか は、人工授精・体外受精等の生殖技術への批判の言説を検討している。前回は、その内容をみる前の予備知識の収集で終わった。立岩は、このテーマを「私的所有・自己決定、市場への境界設定…

デモクラシーとは何か?

平野・亀本・服部『法哲学』(50) 今回は、第6章 法哲学の現代的課題 第1節 デモクラシーとは何か である。 「デモクラシー」という言葉の原義は、「民衆による支配」である。デモクラシーという言葉は、その制度面に着目するときは「民主制」と訳され、…

目に見えない権力 パノプティコン

久米郁男他『政治学』(11) 今回は、第5章 国家と権力 第3節 権力をめぐる諸理論 である。*1 どのような国家観をとるにせよ、政治の問題を考える上で、権力の問題は、議論の中心的な位置を占めざるを得ない。しかしながら、権力とは何か、ということを巡…

千住博 美を生きる

千住博(1958-)の『ウォーターフォール』は、1995年のヴェネツィア・ビエンナーレで名誉賞を受賞した。次のような作品である。(以下、画像はすべて、公式サイトより。http://www.hiroshisenju.com/) THE 46TH VENICE BIENNALE 1995 Venice, Italy http://…

ブログのデザインを変更しました

このブログをはじめて4年間ほど同じデザインを使ってきましたが、やや不満な点がありデザイン変更してみました。実際には、「はてなブログ」が用意してくれているテーマの適用を変更し、ほんの少しカスタマイズしたという程度ですが…。(カスタマイズといっ…

幸せホルモン アタッチメント理論 皮膚感覚の身体化認知

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(16) 今回は、第10章 感覚 のうち、「皮膚感覚」である。 皮膚感覚は、全身の皮膚に感覚点が点在していて、そこにある受容器に接触する刺激があると、神経の信号として脳に伝えられることにより生じます…

いくらお金があれば、「健康で文化的な最低限度の生活」を送れるのか?

阿部彩『弱者の居場所がない社会-貧困・格差と社会的包摂』(2) 前回の記事(ケンカツ(健康で文化的な最低限度の生活)、「ふつうの生活」)の続きです。 「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する生活保護の基準が、来年2019年度より見直される。生…

生きているとはどういうことか? もう一度根元的な問いを問い直すこと

木下清一郎『心の起源』(27) 第6章(最終章)は、「心の未来はどうなるか」である。 [前章までで]ひとまずの結果は得られたとして、筆を止めても良いのかもしれない。しかし、心の世界についてはなお気がかりなことが残っている。それは例えば、心の世…

フィオナ・ジョイ・ホーキンズ(Fiona Joy Hawkins)

YYJT(14) 目を瞑り、まわりの風景や雑音を遮断して、聴いてみてください。Fionaのピュアな音の世界が広がります。 http://www.fionajoy.com/mediareviews/90-sydney-morning-herald.html 1.A Winter Morning www.youtube.com 2.Crystalized Love www.youtube…

不妊治療 生命倫理

立岩真也『私的所有論』(10) 今回は、第3章 批判はどこまで行けているか 第1節 自己決定の条件 である。本章のタイトルにある「批判」とは、「生殖技術(特に代理出産)に対する(倫理的)批判」である。第1節は、この批判を「自己決定」の観点から検…