長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(33)
前回の「認知症」は病気なのか? の続きを書こうと思っていたのだが、これは別記事とし、本書に戻る。
残りは、第17章 社会のなかの人、第18章 心と社会 であり、これは「社会心理学」のカテゴリーに属する。
「社会心理学」は、非常に興味深い分野であり、別の本で扱うことにする。
というわけで、本書の読書ノートは終了する。
最後に、第18章の冒頭にあげられていたエピソードを引用しておきます。
国際学会でウィーンに行った時のことです。ウィーンの地下鉄の駅には、券売機はありましたが改札口がないので大変にびっくりしました。路面電車にも車掌がおらず、乗車券をチェックされる様子もありません。これではただ乗りはやり放題ではないか、と日本人としてはひどく不思議でした。このことを地元の知人に尋ねると、「検察係はいないわけではないよ」という答えでした。なるほど実際に検察係の人はいました。しかし、検察係に出会ったのは、5人の日本人仲間が1週間、地下鉄と路面電車を1日に幾度となく利用して、たったの一度きりでした。公共の機関や財産の運用の仕方は、社会が変われば随分と違うものだと実感しましたが、ウィーンの鉄道は市民同士の高い信頼感に基づいて運用されているよい例だと言えるでしょう。
現在はどうなのでしょうか。
オーストリアの駅には改札口がありません。
長距離列車の場合は、車掌が車内で検札しに回ってきます。
近郊列車や地下鉄を利用する時は、駅構内にある青い刻印機に切符を入れ、乗車日時を刻印します。
刻印は乗り換えなどあっても、最初に乗る時の1回のみにします。
重ねて刻印し、読み取れなくなった場合、検札時に出すと罰金です。
(2019/4/2更新) https://sekai-ju.com/life/aut/life/austria-transport/
ウィーン地下鉄の改札口。ここまで性善説に立った運営している鉄道見たことない。本当に誰もいません。(Mochizo0320) https://www.instagram.com/p/BnPSTbJlWhB/?utm_source=ig_embed