浮動点から世界を見つめる

井蛙には以って海を語るべからず、夏虫には以て冰を語るべからず、曲士には以て道を語るべからず

「立法」とは

浦部法穂『全訂 憲法学教室』(5

今回は、第7章 国民主権 第4節 国会 1国会の地位と性格 の続きである。

今回のテキスト(pp.527~529)は、あまり面白くない。…「現実」を見て、考えなければならないだろう。

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国会は、国権の最高機関であって国の唯一の立法機関である(憲41)というとき、そもそも「立法」とはどういう意味か。「国民の権利を制限し、または国民に義務を課す法規範の定立をいう」とする見解がある。今日の私たちからすれば随分と奇妙な見解である。この見解によれば、国会によらない法規範の定立が広く認められることになる。というのは、権利を制限しないで、義務を課すものではない法規範であれば国会によらず定めることができることになるからである。浦部は、例として「生存者叙勲制度の復活」を、法律によらず政令で定めたことを挙げている。

この見解(「法規」概念)は、「議会による立法権の全面掌握がまだ達成されていなかった19世紀ドイツにおいて、君主権力とのいわば妥協の産物として、これだけは議会の権限だという形で展開されてきた概念」である。

こうした概念を「国民主権の原理に立ち、国会中心主義の統治システムをとる日本国憲法の「立法」の意味の解釈に持ち込むこと自体がおかしい」。

憲法が国会を唯一の立法機関としているのは、行政・司法といった国の具体的な権力作用の行使を、すべて国民代表機関である国会の制定した法律に基づき従わせるためである。だから、権利を制限するかどうかなどということは一切関係ない。

ここで「行政立法」(行政機関による規範の定立)について考えておくべきだろうが、これは前回ふれた。若干、補足する。

行政立法は、法規命令行政規則に分類されるのだが、法規命令(行政機関が定める国民の権利義務に関する規範)はさらに執行命令と委任命令に分類される。法規命令は、政令内閣府令、省令などの形式をとることが多い。

執行命令…上位の法令を執行するために定立された規範で、上位の法令において定められた国民の権利・義務を詳細に説明することを内容とした命令。一般的(包括的)な発令権限の規定が定められていれば、制定可能。

委任命令…法律または上級の命令の委任に基づいて本来当該法律・命令に定めるべき事項について定める命令をいう。執行命令の場合と異なり、例えば罰則を設けることができるなど、国民の権利を制限し、義務を課すことが可能である。一般的な発令権限の規定だけでなく、対象を特定した形での委任が必要。(Wikipedia)

執行命令や委任命令の具体例をあげて論じたいところであるが、そのような能力はないので、今後の課題とする。

私は、このようなテキストを読んで、わかった気にならないのが大切なことだと思っている。具体的な事例に即して考えなければならない。

 

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http://mihamaction.com/suishohama_beach_jp/

 

私は「政治」とか「法」について考えるとき、まず「小さなコミュニティ」を考えることにしている。小さなコミュニティの中でみんな仲良く、楽しく暮らすにはどうしたら良いか。これが出発点である。みんな仲良く、楽しく暮らすためには、「してはならないこと」、「しなければならないこと」がある。「決めごと」(ルール)である。

表現は、単純で明白である。

だけれども、コミュニティが大きくなるにつれ、私たちの「生活」が、複雑化していく。「してはならないこと」、「しなければならないこと」も複雑化していく。その内容をここで記述することは、もちろんできない。

私たちが、いま生きているこの社会を、「鳥の目、虫の目、魚の目、心の目」で見なければならない。みんな仲良く、楽しく暮らしているだろうか。

コミュニティが「国家」のレベルに止まっている限り、「みんな仲良く、楽しく暮らす」ことはできない。グローバル・コミュニティで「みんな仲良く、楽しく暮らす」ことを「夢想」だとして、「私利」や「国益」を追求することが、人として正しい道だとは思えない。