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井蛙には以って海を語るべからず、夏虫には以て冰を語るべからず、曲士には以て道を語るべからず

租税の分類と体系

神野直彦『財政学』(25)

今回は、第12章 租税の分類と体系 である。

本書では聞きなれない(一般的ではない?)用語が多数出てくる。租税主体、租税客体、課税の衝撃点、要素市場税、生産物市場税、家計税、人税、物税などである。そこで、まずは「税法入門」*1により、「租税の分類」と「租税体系」を読み、後で必要とあれば神野の説明を聞くことにしよう。

 

租税の分類 (第1章第7節)

  • 国税地方税…租税を徴収する課税権の主体(国/地方公共団体)による分類。
  • 国税と関税
  • 直接税と間接税…税金を負担する者と税金を納める者が、同じか異なるかによる分類。所得税は直接税の代表的なもの、消費税・酒税は間接税の代表的なもの。

(消費税でお馴染みだが)転嫁という言葉を覚えておきたい。

直接税と間接税の区分は、転嫁の有無によって説明される。例えば、製造者が国へ納めた税が、取引価額を通じて製造業者から卸売業者に移り、更に卸売業者から小売業者へ、小売業者から消費者へと順々に移っていくことを財政学者は「税が製造業者から卸売業者へ転嫁され、卸売業者から小売業者へ、更に小売業者から消費者へ転嫁された」といい、こうした転嫁の結果、税が消費者の負担となった場合に「税が消費者に帰着した」という

  • 収得税…所得を得たという事実に基づいて課税するのが収得税で、所得課税といってもよい。国税である所得税法人税地方税である住民税や事業税がこれに当たる。

収得税(しゅうとくぜい)というのはあまり聞きなれないが、次のような意味である。

租税は経済活動のいろいろな側面に着目して課されるが,収得税は,納税者が金銭あるいは物の形で収入を得ているという事実に着目して課される税である。収得税は所得税収益税に分けられる。所得とは個人やその他の経済主体に関して観察された収入であり,収益とは収入を生み出す特定の物体ないし生産要素に関して観察した収入である。両者は同じものを別の観点からみたものであるといえる。所得税は納税者を中心に課されるから人税とよばれる。(世界大百科事典)

  • 財産税…財産を保有している(財産の取得も含む。)という事実に対して課税するもので、国税では相続税地価税地方税では固定資産税があげられる。

私は財産税に、格差の観点から注目している。今後、詳細を検討したい。

  • 消費税と流通税…正確には消費課税、流通課税というべきである。消費税、酒税、たばこ税、地方消費税ゴルフ場利用税などは、明らかに消費課税になる。

消費税(消費課税)に関しては、詳細検討を要する。

  • 普通税と目的税…特定の経費に充てる目的をもって課される税を目的税という。現在の我が国の税制においては、国税である電源開発促進税が発電用施設の設置を促進するためにその収入の金額が充てられる他、地方税には都市計画税等が目的税として定められている。
  • 従量税と従価税…課税標準に重量、個数、体積などを使い、税率が金額で示されるのが従量税、課税標準が金額ないし価額で示され、税率何%といった百分比で示されるのが従価税である。間接税の多くは従量税で、従量税の方が相場の変動や業者間の複雑な取引条件の影響を受けることが比較的少なく、税収が安定して見込めるという利点がある。

さまざまな税目がある。例えば、森林環境税(R6年施行)は、上記分類のどれに当てはまるか。

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https://www.nichizeiren.or.jp/wp-content/uploads/doc/cpta/business/education/11-1%20lecturetext2019university_normal.pdf

 

租税体系 (第2章第1節)

租税は、多くの税目の税が他の税の短所を補い、補完し合いながら相互に租税全体として一つの体系をなしている。そのような体系を租税体系という。昭和63年前後の抜本的税制改革から平成6年秋の税制改革を経て現在に至る税制改革の流れにおいて、現在の我が国の租税体系は、所得課税を税制の中心に据えつつ消費課税にウェイトをやや移している。少子・高齢化社会においては、勤労世代の人口に占める割合が小さくなるから、勤労世代に限らずより多くの人々が社会を支えていかなければならないことがその背景にある。資産課税についても、税負担の公平の確保などの見地からその適正化が図られてきている。

「多くの税目の税が、他の税の短所を補い、補完し合いながら…」という点に留意したい。単一の税目にのみ着目して是非を論じていてはダメである。

消費課税、資産課税は、議論の多い税である。今後詳細検討したい。

現在の我が国の租税体系は国税地方税とを併せ考えると、

 まず、所得税法人税などの収得税を基幹とし、

 これに相続税贈与税などの財産税

 消費税・酒税・揮発油税などの一般的総称としての消費税

 電源開発促進税・復興特別所得税などの目的税

 及び印紙税・登録免許税などの流通税

をもって構成する体系になっており、地方税においても都道府県民税・市町村民税をはじめとする収得税、固定資産税・自動車税などの財産税のほか、消費税及び流通税等をもって構成する体系になっている(1-3表)。

租税体系は、①収得税、②財産税、③消費税、④目的税、⑤流通税をもって構成されている、と覚えておこう。税体系が「こうあるべきだ」というのではなく、現在の日本の税体系は「このようになっている」という理解である。

なお、復興特別所得税は、東日本大震災からの復興のためのものであるが(2037年まで25年間、特別所得税2.1%を納付することになっている)、同様に、今般の新型コロナ感染症対策のために「新型コロナ特別所得税」が創設されることになると予想している。詳細は後日。

 

続いて、「租税体系についての考え方」(p.16~)として、所得課税、消費課税、資産課税等についての説明があるが、これは省略(後日検討)。ここでは、「所得・消費・資産等の税収構成比の推移(国税」の表(p.17)が興味深いので、とり上げておこう。

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所得課税及び資産課税の減少、消費課税の増大が目につく。適正な構成に近づいている、それとも格差拡大に寄与している?