浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

社会保障改革の方向性、社会保障の給付と負担

香取照幸『教養としての社会保障』(32)

今回は、第9章【改革の方向性】「安心」を取り戻すために、どう改革を進めるべきか 第3節 社会経済の変化に対応できるシステムへと自らを改革する(p.266~)と第4節 成長に貢献する制度を作る(p.275~) をとりあげるつもりで書きはじめてみたものの、どうにも気乗りがしない。

そうこうしているうちに、先週(2022/12/16)、「全世代型社会保障構築会議」の報告書(全世代で支え合い、人口減少・超高齢社会の課題を克服する)が、「全世代型社会保障構築本部」に提出されたので、これをとりあげようと思い、「基本的考え方」の部分を読んだ。そして、香取の議論と報告書を読み比べてコメントしようしようかとも思ったが、これもやめにした。*1

というのは、第1に「改革の方向性」とか「目指すべき社会の将来方向」とか言うものの、「本来あるべき姿」を構想した上での議論ではないように思われるからである(例えば、「国家」という枠組みにとらわれている。「自助・共助・公助」のあるべき姿を検討していない)。

第2に、「総論」としてこのような議論を抽象的に述べても、それを「各論」(具体論)に展開することは容易ではなく、しばしば、「総論賛成・各論反対」の事態に陥る。政策の実現性(実効性)を考えれば、各論が先にあり、総論は後で作文されることも多い。総論←→各論。従って、各論を読んだうえでのコメントが望ましいだろう。本書の、付章【提言】人口減少社会を乗り切る持続可能な安心社会のために は「各論」にあたるのではないかと思われるので、それを読んだうえで考えることにしたい。

 

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ここでは、社会保障の給付と負担の図をあげ、全体のイメージをつかんでおこう。(https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/000871404.pdf

 

財源は、「保険料」が6割、「税金」が4割である。上図には出てこないが、民間の保険もある。

それぞれが、「自助・共助・公助」のどれに該当するのか? また保険料と給付の関係はどうなっているか。

上の二つの図を表にしたものだが、保険料の部分は「公助」、税金の部分は「共助」と言って良いか?

*1:基本的考え方は、(1) 目指すべき社会の将来方向、(2)全世代型社会保障の基本理念、(3) 全世代型社会保障の構築に向けての取組 に区分して述べられている。その内容は、香取の議論と大同小異であるように思える。(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/zensedai_hosyo/dai12/siryou1.pdf