新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(41)
新規感染者が過去最大を更新し、またぞろ第3波だ、大流行の兆しだ、との大合唱である。マスメディアだけではない。「メディアに登場する感染症専門家・医師」や「地方の首長」や「医師会のトップ」や「一部政治家」や「一部学者(感染症非専門家)」たちである。オオカミ少年か、はたまた預言者か?
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【図1】100万人当たりの国内新規感染者の推移(7日移動平均)
このグラフは、Our World in Data のDaily new confirmed cases of COVID-19 で、日本を選択して作図したものである。
この形状を見て、第3波と称しているわけだ。そして、短絡的に感染防止策(表現を少し変えただけで、内容は以前と大同小異)の徹底を呼び掛けている。どうしてこのような雑な議論を繰り返しているのだろうか。
【図2】100万人当たりの国内新規死亡者の推移(7日移動平均)
感染者のグラフと比べてかなりイメージが異なる。感染者のグラフと同時に、死亡者のグラフを示して解説しているニュースを聞いたことがない。このグラフを見て、第3波だとか大流行の兆しだとか言えるのだろうか。
【図3】国内死亡者数の動向(7日移動平均の指数表示)
このグラフは、7日移動平均の死亡者数なので、図2と形状は同じである。
ポイントは、2020/5/8の7日移動平均値を100(基準値)として、以降を指数表示しているということである。(元データは、厚労省公表の数字*1で、各自治体公表資料集計分である)。
2020/5/8としたのは、以下の理由による。…厚労省の数字は、2020/4/22の数字が「異常値」なので、2020/4/23以降の数字を対象とした。7日移動平均値が得られるのは2020/4/29以降であり、最大値は2020/5/8の24人である。
第2波(?)のピークは、2020/8/31の14.3人であり、ピーク時の60%のレベルである。
現在は、第3波(?)かどうか分からないが、2020/11/12の死亡者は8.7人で、ピーク時の36%のレベルである。
このように死亡者数を見る限りでは、騒ぎ立てるような数字ではない。
しかしながら、図1に見るような感染者の急増はいずれ(何日か後に)死亡者数の増加となる。これは当然に予想されるところである。
ここでは、(以後、上昇するとしても)現在の数字はピーク時の36%のレベルであるに過ぎないということに留意すべきである。(このことは、現在の政策に問題がないということを意味しない)。
*1:厚労省のオープンデータ(https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/open-data.html)にある「死亡者数」である。