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COVID-19:「新型コロナで死ぬ」とはどういうことか?(2)- 死亡診断書

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(34)

※ 当ブログのCOVID-19関連記事リンク集 → https://shoyo3.hatenablog.com/entry/2021/05/06/210000

以前(2020/7/16)にあげた数表を再掲する。

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「令和元年年(2019) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」(厚労省)より

 この数字は、市区町村が、「出生、死亡、婚姻、離婚及び死産の届書」に基づいて「人口動態調査票」を作成し、保健所、都道府県経由で、厚労省がとりまとめたものである。

死亡に関しては、「死亡診断書」がベースとなっており、医師が作成する。(どういう事項が記載されているかについては、例えば「死亡診断書記入マニュアル」を参照)

死亡の原因」欄は、次のような内容である。

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  • Ⅰ欄では、最も死亡に影響を与えた傷病名医学的因果関係の順番に記入する。(マニュアル p.12)
  • 直接の死亡の原因となった傷病名等を(ア)欄に、(ア)欄の原因となる傷病名等があれば(イ)欄に、(イ)欄の原因となる傷病名等があれば(ウ)欄に記入する。各傷病名等については、分かる範囲で発症の型、病因、部位、性状等も書くようにする。(p.12)
  • 死亡統計の基礎データとなる原死因はWHOが定めたルールによって決定され、基本はⅠ欄の最下欄の傷病がその上の欄に記載されたすべての傷病を引き起こす可能性がある時に、その最下欄の傷病を原死因とするという一般原則に基づいている。(p.22)
  • Ⅱ欄は、「直接には死因に関係していないが、Ⅰ欄の傷病等の経過に影響を及ぼした傷病名等」があれば記入する。(p.15)
  • 発病(発症)又は受傷から死亡までの期間…死亡の原因となる傷病について、一時的に治癒したものであっても死亡の原因に関係があれば治癒前の発病(発症)又は受傷から死亡までの期間を記入する。(p.15)

死因統計は、直接死因ではなく、原死因で作成されている、ということに留意すべきである。

  • WHOは、原死因を、「直接に死亡を引き起こした一連の事象の起因となった疾病又は損傷」又は「致命傷を負わせた事故又は暴力の状況」と定義している。(p.10)

医学的因果関係が、疾病(エ)→疾病(ウ)→疾病(イ)→疾病(ア)なるとき、疾病(エ)が原死因であり、疾病(ア)が直接死因である。この因果関係が100%の確率で連なっているなら良い。仮に、各「→」が70%とすると、疾病(エ)→疾病(ア)の確率は、34%である。「風が吹けば桶屋が儲かる」の論理が思い浮かぶ。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症新型コロナウイルス検査陽性者)→(高齢者の)肺炎 なる医学的因果関係があるとき、この確率はどの程度のものだろうか。

 

2018年の死因のトップ3は、第1位:悪性新生物(腫瘍)、第2位:心疾患(高血圧性を除く)、第3位:老衰であるが、

  • 死因としての「老衰」は、高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死の場合のみ用いる。
  • ただし、老衰から他の病態を併発して死亡した場合は、医学的因果関係に従って記入する
  • 例…(ア)直接死因:誤嚥性肺炎、(イ)(ア)の原因:老衰 (p.10)

死亡診断書がこのように書かれていれば、死因統計では、老衰 誤嚥性肺炎にカウントされることになる。(2020/9/10訂正)

ところで、誤嚥性肺炎とはどういうものかどのような原因が考えられるのだろうか。検索すればいくらでもでてくるが、例えば、ドクターズ・ファイルを参照。

(続く)

 

(付録)私(逍遥)の死亡診断書

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https://shindanmaker.com/604709 より作成。