気の向くままに

形而上学・倫理学・法哲学・社会学・自然学・美学・その他諸々について書いてみたい幼稚園児のブログです。まあ、しかし焦らずにゆっくりと、気の向くままにいきましょう。

「地球温暖化」のウソ?ホント?

伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』(19) 今回から、第5章 みんなで考え合う技術 である。 合意に達しようとみんなで考えあう際には、少ない情報で判断を下さねばならないことが多い。さらに、事実についてのCT(クリティカルシンキング)と価値につ…

自由主義、共同体主義、民主主義

平野・亀本・服部『法哲学』(36) 第4章 法と正義の基本問題 第5節 共同体と関係性 の続きである。 前回は、「自由主義と共同体主義の主張のまとめ」のその1.「秩序原理」についてみた。今回は、2.人格概念~4.思想基盤についてみてみよう。 自由…

民主主義を抑制する?

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(21) 今回は、第4章 国家論の禁じ手を破る 第2節 国家の存在理由 の続きである。 稲葉は、相変わらず(学識を示したいのかどうか知らないが)ルーマンやらケルゼンやらシュミットやらの名前を出して何か話…

キネティック・アート (シェフェール、パルク、グルッポ・T)

末永照和(監修)『20世紀の美術』(17) 前回は、第7章 抽象表現主義からミニマル・アートへ のうち、アンフォルメル(パリの実存的な抽象)をとりあげた。つづく「アメリカ抽象表現主義」については、読書ノート:大岡信『『抽象絵画への招待』で取り…

科学と人間 見るものすべてが花であり、思うところすべてが月のように美しい

加藤尚武『現代倫理学入門』(33) 今回は、第15章 科学の発達に限界を定めることができるか の続きである。 科学は中立的か これに対する反論は、「科学・技術は、善悪どちらにでも使えるもので価値中立的であるから、巨大技術を含めて科学研究・技術開…

Zマシンは核実験装置か? 科学批判の思想

加藤尚武『現代倫理学入門』(32) 今回は、第15章 科学の発達に限界を定めることができるか である。 ながらく人間の文化には、科学や技術の目的の倫理性と道程の安全性についてチェックするシステムが存在しなかった。科学技術から生まれた自然破壊な…

安倍内閣の支持率 55か月連続100%で推移の快挙(内閣府調査)

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(16) ウィキリークスとハクティビズム ウィキリークスが情報技術を用いて可能にしたこと、それは、世界中に不正の「潜在的暴露可能性」を叩きつけたことであり、リークによって社会を「ハック」したことである。不正…

「不安な個人、立ちすくむ国家」…総会議事概要を読む。総会は何をするところなのか?

経産省 次官・若手プロジェクト 「不安な個人、立ちすくむ国家」(3) 経産省 次官・若手プロジェクト 「不安な個人、立ちすくむ国家」の審議がされた第20回産業構造審議会総会(2017/5/18)の「議事要旨」が、2017/8/15にアップされた*1。総会開催後のお…

パヴロフの犬

木下清一郎『心の起源』(14) 第2章 心の原点をたずねる 第5節 生得的情報から自発的行動へ の続きである。 条件反射 動物がある刺激を受けると、否応なしに一定の反応が起こってしまうことがある。これは生得的反射であって無条件反射と呼ばれる。これ…

アマチュアの領分

岡田暁生『音楽の聴き方』(23) 第5章 アマチュアの権利 の続きである。 「聴く音楽」と「する音楽」 大戦中にベッカーが提起した音楽と社会をめぐる問題を、1920年代に入ってさらに展開させたのがドイツの音楽学者ハインリッヒ・ベッセラーである。…ベッ…

価値観の壁を乗り越える その先は?

伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』(18) 第4章 「価値観の壁」をどう乗り越えるか の第8節は、結局「生きる意味」とは何だったのか である。ここで伊勢田は、生きる意味の問題について、ここまでで紹介してきた手法がどう使えるのかをおさらいしてい…

各人は自由に自らの幸福を追求できる ???

平野・亀本・服部『法哲学』(35) いま読んでいる箇所は、第4章 法と正義の基本問題 第5節 共同体と関係性 である。 平野は、共同体論者の言う「自由社会の病弊」を紹介した後、次のように書いていた。 このような自由社会の病弊は、共同体論によれば、…

「国家」を主語にするということは…… (軍事大国への道)

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(20) 今回は、第4章 国家論の禁じ手を破る 第2節 国家の存在理由 である。 なぜ国家があるのか 例の如く、稲葉の話はわけが分からないので、省略しようかとも思ったのだが、「わけの分からなさ」を書きとめ…

アンフォルメル - パリの実存的な抽象

末永照和(監修)『20世紀の美術』(16) 前回クイズ(次の彫刻の作者は誰でしょうか? 参照)の答えです。 (A)バーバラ・ヘップワース、(B)アルベルト・ジャコメッティ、(C)パブロ・ピカソ 美術愛好家でなければ、たぶんヘップワースやジャコ…

相対主義

加藤尚武『現代倫理学入門』(31) 今回は、第14章 正義は時代によって変わるか である。加藤は、価値基準が場所や時代によって変わるとして、ヘロドトス等から色々な例を簡単に紹介しているが、あまり面白くないので、これは省略する。 加藤は、相対主…

ウィキリークス(3) 内部告発は、情報漏洩の犯罪なのか?

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(14) ウィキリークス関連で、内部告発と公益通報についてみておこう。ウィキリークスは、内部告発や公益通報とどう違うのかを認識しておく必要がある。(私は前回、ウィキリークスとは「不正告発サイト」であるとした…

シルバー民主主義 老人駆除法(少子高齢化の抜本的解決)

経産省 次官・若手プロジェクト 「不安な個人、立ちすくむ国家」(2) 本資料は、「シルバー民主主義」について、次のように述べている。 「シルバー民主主義」を背景に、大胆な改革は困難と思い込み、誰もが本質的な課題から逃げているのではないか。(P49)…

刷り込み(2) 「発達障害」の原因は、「刷り込み」の障害にある?

木下清一郎『心の起源』(13) 本書の趣旨から外れるかもしれないが、「刷り込み」に関連した話をとりあげよう。それは、発達障害の原因は、「刷り込み」の障害にあるのではないか、という話である。 政府広報オンラインに、「発達障害って何だろう?」と…

刷り込み(1) 空白の記憶

木下清一郎『心の起源』(12) いま検討しているのは、神経回路内の「情報の刻印の進化」である。木下はこれを、「本能、刷り込み、条件反射」という3つの行動に着目して説明している。今回は2番目の「刷り込み」である。まず事例から(たぶん、どこかで…

音楽の力 フラッシュモブ 『歓喜の歌』

岡田暁生『音楽の聴き方』(22) 第5章 アマチュアの権利 の続きである。 音楽評論家パウル・ベッカー(1882-1937)は、「音はそれ自体ではただの音(=知覚される素材)に過ぎない。それを音楽として知覚する人々(=周囲世界)、そして枠組(=形式)が…

自然主義的誤謬 女性は第1子を出産したら、退職すべきである?

伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』(17) 今回は、「妥当でない価値的推論」としての「自然主義的誤謬」と「自然さからの議論」である。ただし、倫理的概念としての「自然主義的誤謬」の専門的な議論にはふれないでおこう。 自然主義的誤謬 倫理とは、定…

無知のヴェール 負荷なき自我

平野・亀本・服部『法哲学』(34) いま読んでいる箇所は、第4章 法と正義の基本問題 第5節 共同性と関係性 である。今回は、そのうち「負荷なき自我」をとりあげよう。平野は次のように書いている。 共同体論によれば、自由主義的な正義の理論は、何も…

ビッグブラザーがあなたを監視している 1984年より、2+2=5 である

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(19) 第4章 国家論の禁じ手を破る の続きである。 立岩は、「フーコーは、近代社会がどういう仕掛けでできているのか、どういうふうに仕組まれているかをよく記述している、権力と主体の関係についても、こ…

次の彫刻の作者は誰でしょうか?

末永照和(監修)『20世紀の美術』(15) クイズです。下のA~Cの3作品の作者は誰でしょうか。次の中から選んでください。 パウル・クレイ(Paul Klee) パブロ・ピカソ(Pablo Picasso) マックス・エルンスト(Max Ernst) ヘンリー・ムーア(Henry…

世代間倫理 恩返し 核廃棄物

加藤尚武『現代倫理学入門』(30) 第13章 現在の人間には未来の人間に対する義務があるか の続きである。 だから世代間倫理が成り立つための困難は、共通の価値観が不在だという点にあるのではない。利害関係があって、共通の価値観もあるはずである。…

ウィキリークス(2) ジュリアン・アサンジという男 ハニートラップ?

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(14) 前回、ウィキリークスとは「不正に関する情報を公開するウェブサイト」とするのが、最も簡潔な定義だとした。もっと端的に言えば、「不正告発サイト」となろう。 世間の賞賛と批判を同時に浴びながら躍進してき…

何かが変わるのか? 「不安な個人、立ちすくむ国家」(経産省 次官・若手プロジェクト)

経産省 次官・若手プロジェクト 「不安な個人、立ちすくむ国家」(1) 経産省若手が炎上ペーパーの批判に答える -シルバー民主主義って、選挙したら若いほうが負ける- (庄司容子、日経BP)http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/051000049/0…

記憶

木下清一郎『心の起源』(11) 生得的記憶と獲得的記憶 生得的(先天的)情報には遺伝子が関与しているものとし、獲得的(後天的)情報には遺伝子は関与しないものとすると、前者は天賦の情報であり、後者は経験による情報である。一つは神経回路の内部に…

音楽の力

Chris Spheeris / Culture (painter: Ettore Tito) www.youtube.com Giovanni Marradi / Just For You (painter: Francois Fressinier) www.youtube.com John Sokoloff / Alma de San Pedro (painter: Konstantine Razumov) www.youtube.com Diego Massanti …

ダブルスタンダード 妊娠するアンドロイド

伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』(16) 今回は、第4章 「価値観の壁」をどう乗り越えるか 第7節 妥当でない価値的推論 である。 価値的推論にも、他の論理的推論と同じように、妥当な推論もあれば妥当でない推論もある。実践的三段論法は妥当な価値…