浮動点から世界を見つめる

井蛙には以って海を語るべからず、夏虫には以て冰を語るべからず、曲士には以て道を語るべからず

私たち

人口ピラミッドを登る

香取照幸『教養としての社会保障』(9) 今回は、第4章 変調する社会・経済-人口減少、少子化、高齢化 第2節人口オーナスとライフスタイルの変化 である。 日本の将来人口を、年少人口(~14歳)・生産年齢人口(15~64歳)・老年人口(65歳以上)に区分…

「未開人」に学ぶ

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(8) 今回は、第2章 競争は避けられないものなのだろうか 第5節 異文化における生活(p.56~) である。 http://labaq.com/archives/51757732.html 非競争的な文化のいくつかについて、『未開人における協力と競争』…

脳の改変 欲望の空虚

立岩真也『私的所有論』(26) 今回は、第4章 他者 第4節 技術について [1]技術、[2]「私」 である。*1 *2 ここで言う技術とは、人体に対する操作技術を意味するだろう。 この人体に心を含めるかどうか。人体に脳を含めると心が問題になってくる。 この…

母屋(一般会計)と離れ座敷(特別会計)

神野直彦『財政学』(12) 今回は、第8章 予算制度の構造と機能 の続き である。 私たちの税金(や保険料)がどのように使われているのかを把握するためには、予算制度をしっかりと理解しておくことが必要だろう。さもないと……。 今回は、本書ではなく、…

日本では、立法・行政・司法(三権)は分立していなくて、癒着しているのではないか?

久米郁男他『政治学』(26) 今回から、第2部 統治の効率-代理人の設計 第10章 議会 に入るが、本書を読む前に、権力分立について概観しておきたい。 おそらく教科書的な解説は、次のようなものであろう。 権力の濫用を防止し、国民の政治的自由を保障す…

「ウィーン地下鉄の改札口」が意味するものとは?

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(33) 前回の「認知症」は病気なのか? の続きを書こうと思っていたのだが、これは別記事とし、本書に戻る。 残りは、第17章 社会のなかの人、第18章 心と社会 であり、これは「社会心理学」のカテゴリー…

人口減少、少子化、高齢化の衝撃

香取照幸『教養としての社会保障』(8) 第4章 変調する社会・経済-人口減少、少子化、高齢化で「安心」が揺らぎ始めた の目次は、次の通りである。 (1) 人口減少、少子化、高齢化の衝撃 (2) 人口オーナスとライフスタイルの変化 (3) 経済縮小と消費縮小…

「競争」は教え込まれたものではないか?

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(7) 今回は、第2章 競争は避けられないものなのだろうか 第4節 競争から学習するのか、それとも協力から学習するのか(p.40~) である。 本節のタイトルは意味不明である。「学習する」というが何を学習するのだ…

自己決定と過剰医療

立岩真也『私的所有論』(25) 今回は、第4章 他者 第3節 自己決定 の第6項 「条件を問題にするということ」である。(テーマは「自己決定」であり、第1項から第5項の議論*1を思い起こそう。) 最初の部分は省略して、「医療の場」を例に議論を進めて…

原則と例外 どちらが重要か?

神野直彦『財政学』(11) 今回は、第8章 予算制度の構造と機能 の続きである。 財政法では、予算の内容を、①予算総則、②歳入歳出予算、③継続費、④繰越明許費、⑤国庫債務負担行為、という5つに規定しているのだったが、今回は③以降をみる。 本書の説明を…

経済のグローバル化について

久米郁男他『政治学』(25) 今回は、第9章 国際関係における富の配分 である。本章の内容は、 第1節 国境を越える経済的交流の増大 経済的相互依存状況の進展(経済のグローバル化、高次元の政治・低次元の政治、ニクソン・ショック、石油危機、国際経…

先進医療 スウェーデンの医療システム改善

香取照幸『教養としての社会保障』(7) 今回は、第3章 日本の社会保障-戦後日本で実現した「皆保険」という奇跡 第6節 日本の社会保障の現状と評価(p.85~)である。 日本の社会保障制度は国際的にどう評価されているか わが国が実現してきた社会保障制…

自分たちになぞらえた自然(動物の行動)を利用して、自らを正当化する。

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(6) 今回は、第2章 競争は避けられないものなのだろうか 第3節 現実の自然状態 の続き(p.37~) である。 コーンの問いは、「動物の行動は、協力によって特徴づけられている。にもかかわらず、ホッブス[万人の万…

所有-処分-決定、稼げず金のない人は、病気になって死んでしまってもよい?

立岩真也『私的所有論』(24) 今回は、第4章 他者 第3節 自己決定 の第5項 「自己決定のための私的所有の否定」である。 立岩の言う「自己決定」とは、以下のようなものであると理解した。(2019/08/07 自分に関わることを自分で決めるなら、何も問題は…

ドローン戦争 - 戦争は会議室で起きている? (2) - 人生を知らない子どもたち

前回は、ドローンが、①私たちの生活に役立っているツールである、②私たちの生活を破壊しているツールである、という二面を見てきた。これは、まあ昔からある問題なのだが、誰かが根本的な解決策を提示しているのかどうか、私は寡聞にして知らない。そこで少…

ドローン戦争 - 戦争は会議室で起きている? (1)

2019年9月14日、サウジアラビアの石油施設が、無人機(ドローン=雄の蜜蜂)で攻撃された。イエメンのフーシ派は「10機のドローンで攻撃した」との犯行声明を出したが、イランの関与も指摘されている、という。中東情勢は、原油価格に大きな影響を及ぼし、私…

現代財政は、予算原則を守れなくなっている?

神野直彦『財政学』(10) 今回は、第7章 予算のプリンシプル の続き(p99~)と、第8章 予算制度の構造と機能 である。 予算の話は、「国家予算」だけでなく、特定の「組織」や「団体」が活動するための「予算」の話と受け止めれば、きっと身近な話とし…

国際関係における安全保障 → 人間の安全保障

久米郁男他『政治学』(24) 今回は、第8章 国際関係における安全保障 第1節 安全保障のジレンマとその回避 の続きである。 「国際制度による安全保障」の項では、米ソ対立の解消は、軍備管理・軍縮への取り組みを進展させ、いろいろな条約が締結された…

潜在意識を刺激されたメッセージにより、行動が支配される。

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(31) 今回は、第16章 脳損傷と心の働き である。失認症、失語症、先行症、記憶障害(健忘)、注意障害、などの話題があるが、「見えないのに見えている――自覚なしの知覚」について見てみよう。 対象を自…

経済成長と社会保障の関係をどう考えたらよいのか?

香取照幸『教養としての社会保障』(6) 今回は、第3章 日本の社会保障-戦後日本で実現した「皆保険」という奇跡 の続き(p.74~)である。 まず、「高度成長との二人三脚」という節で、香取は以下のようなことを述べている。 皆保険制度ができた(1961年…

動物の行動は、「協力」によって特徴づけられている。人間は?

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(5) 今回は、第2章 競争は避けられないものなのだろうか 第3節 現実の自然状態 (p.32~) である。 競争と協力のどちらが優勢かを比較してみるために、まず自然界に目を向けてみることにしよう。…動物界の競争は、…

「植物人間」や「乳幼児」はもとより、「偽大人」であっても、共生社会の一員である

立岩真也『私的所有論』(23) 今回は、安楽死・尊厳死について書こうと思っていたのだが、後でもう少し詳しい話があるようなので、後回しにして、第4章 他者 第3節 自己決定 の第4項に進もう。 4 決定しない存在・決定できない事態について 植物状態や…

予算のプリンシプル(2) 偽造・変造された文書を公開されてもねぇ…

神野直彦『財政学』(9) 政治家や公務員でなくても、所属組織において、予算(収入・支出)に関わっている人であれば、予算原則の話は参考になるだろう。 今回は、第7章 予算のプリンシプル の続きである。前回は、1.完全性の原則、2.統一性の原則、…

富国強兵と安全保障と国連

久米郁男他『政治学』(23) 今回は、第8章 国際関係における安全保障 第1節 安全保障のジレンマとその回避 の続きである。 国際連合 本書の「国際連合」に関する記述は、「①武力による威嚇、武力行使の禁止、②安全保障理事会の権限強化、常任理事国(米…

「誰でも」「どこでも」「いつでも」保険医療を受けられる

香取照幸『教養としての社会保障』(5) 今回は、第3章 日本の社会保障-戦後日本で実現した「皆保険」という奇跡 である。 日本の社会保障の特徴として、次のものが挙げられている。 国民皆保険、国民皆年金である。 社会保険方式に公費を投入し、保険料と…

「競争は避けられないものである」というのは自明ではない

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(4) 今回は、第2章 競争は避けられないものなのだろうか 第2節 競争が避けられないものだという議論について である。 競争が避けられないものであることは、あたかも自明なものであるかのように暗黙のうちに前提と…

自分に関わることを自分で決めるなら、何も問題はないのだろうか?

立岩真也『私的所有論』(22) 今回は、第4章 他者 第3節 自己決定 である。 「自己決定」とは、「自分のこと(自分に関わること)は、自分で決める」ということである。他人から強制されて、嫌々〇〇することもあるかもしれないが、たいていは自分の意…

予算のプリンシプル(1)

神野直彦『財政学』(8) 今回は、第7章 予算のプリンシプル である。 「予算」(公共予算)とは、議会が、行政府に対して執行権限を付与し、その執行を管理することであった。この簡単な定義のどこに重点があるか。それは私たち[コミュニティのメンバー…

集団安全保障 - 戦争に訴えないという合意

久米郁男他『政治学』(22) 今回は、第8章 国際関係における安全保障 第1節 安全保障のジレンマとその回避 の続きである。 テーマは「集団安全保障」である。「集団的自衛権」の話とは異なる。 「勢力均衡」から「集団安全保障」へ 「勢力均衡」(≒大国…

概念とカテゴリー 複雑な現実世界

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(28) 今回は、第14章 思考 のうち、「概念と言語」である。まず概念とカテゴリーについて説明されているが、どうにも分かりにくい。 溝上慎一の説明を参照しよう。 私たちは乗用車を見て、それがオートバ…