私たち
山岸俊男監修『社会心理学』(18) 今回は、第3章 社会の中の個人 のうち、認知的不協和理論 である。 色々な言葉が出てきて紛らわしいが、まず認知的斉合性理論という言葉を覚えておこう。 その認知的斉合性理論の代表的なものに、(1) F.ハイダー(1896-…
アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(26) 今回から、第5章 競争が人格をかたちづくるのだろうかー心理学的な考察 である。 コーンは、競争に伴う心理的な犠牲について述べている。 競争が有効であるという決まり文句を一度も疑ってかかったことのない…
神野直彦『財政学』(30) 今回は、第13章 人税の仕組みと実態 のうち、「所得税の課税単位:結婚への刑罰とギフト」(p.192~)をとりあげる。 税金(公的な支出に必要なお金)は、「経済力に応じて分担しよう」という考え方には、(各論はともかく総論と…
井上達夫『共生の作法-会話としての正義-』(17) 今回は、第2章 エゴイズム 第3節 正義とエゴイズム 2 エゴイズムの問題 の続き(p.54~)である。 井上は、面白い例を示しているので(p.58)、これを最初にとりあげよう。(傍点は緑字にした) ある会…
伊藤公一朗『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』(8) 今回は、第4章 「階段状の変化」を賢く使う集積分析 の続きである。 伊藤は、集積分析のもう一つの応用例として、スタンフォード大学のラジ・チェティ教授らが行った「所得税と労働供給の因果関係…
香取照幸『教養としての社会保障』(26) 今回は、第7章 【国家財政の危機】「将来不安」を払拭するために何をすべきか 第3節 不安の背景にあるもの である。 香取の言う不安とは、(1)経済や社会の将来への不安、(2)日常の中の不安(拠り所の喪失、目…
久米郁男他『政治学』(33) 今回は、第10章 議会、第3節 議会と政党 である。 官僚主導の立法過程 戦後日本における成立法案の85.4%が政府[内閣]提出になる閣法である。この閣法は、関連省庁からボトムアップで作成・提案される。法案作成に主として…
山岸俊男監修『社会心理学』(17) 今回は、第3章 社会の中の個人 のうち、バランス理論 である。 山岸は、F.ハイダー(1896-1988)のバランス理論を、次のように説明している。 人が相手に対して持つ態度は、自分と相手が、ある対象とどう関係するかによ…
アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(25) 今回は、昨日の「競争を伴わないスポーツ(気晴らし、楽しみ)【デポルターレ】(上)」の続きである。 コーンは、「競争を伴わないゲーム」を考え出した人物として、T.オーリック、J.ソ-ベル、T.F.レンツ、R…
アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(24) 今回は、第4章 競争はもっと楽しいものなのだろうか-スポーツ、遊び、娯楽について の続き(p.146~)である。 「競争を伴う気晴らし」を奨励することの論拠(利点)には、以下の〇で示したようなものもある。…
神野直彦『財政学』(29) 今回は、第13章 人税の仕組みと実態 に進もうと思ったのだが、本章の理解のためには、前章までの説明を理解しておく必要があり、その復習と私見を少し述べるに終わってしまった。第13章は次回にする。 人税と物税 本章のタイト…
井上達夫『共生の作法-会話としての正義-』(16) 今回は、第2章 エゴイズム 第3節 正義とエゴイズム 2 エゴイズムの問題 の続き(p.54~)である。 前回までは (1)正のエゴイズムと負のエゴイズム だったが、今回は (2)「種」と「類」のエゴイズム であ…
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(99) ※ 当ブログのCOVID-19関連記事リンク集 → https://shoyo3.hatenablog.com/entry/2021/05/06/210000 しばらくCOVID-19に関する記事を書いていません。書く必要がないからではなく、当面、言いたい…
言葉(2) 漱石枕流(そうせきちんりゅう)は、「石に漱ぎ(くちすすぎ)流れに枕す」と読む。 これは、「石で口の中をきれいにし、川の流れを枕にする」という意味である。これは誰が聞いてもおかしい。 この言葉は、役人になる前の孫子荊(そんしけい)が…
伊藤公一朗『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』(7) 今回は、第4章 「階段状の変化」を賢く使う集積分析 である。 因果関係をデータ分析によって解き明かすための最良の方法は、ランダム化比較試験(RCT、Randomized Controlled Trial)である。RCT…
香取照幸『教養としての社会保障』(25) 今回は本書を離れて、番外編として「生命表」をとりあげる。 生命表とは、 年齢別、男女別などに類別し、生存数・死亡数および生存率・死亡率、平均余命(寿命)などを一括して示した表。日本では、厚生労働省が国…
久米郁男他『政治学』(32) 今回は、第10章 議会、第2節 日本の国会 第3項 国会についての2つのイメージ をとりあげる。 対決と裏取引 2つのイメージとは、①与野党が激しく対立する対決のイメージ、②与野党が舞台裏で本音の交渉をして妥協を図る裏取引の…
山岸俊男監修『社会心理学』(16) 今回の記事の自己評価は、「自己カテゴリー化理論」を理解していないので、「ごみ箱」入りです。 ********** 今回は、第3章 社会の中の個人 のうち、社会的アイデンティティ② である。 山岸は、J.C.ターナ(1947-2011)…
香取照幸『教養としての社会保障』(24) 今回は、第7章 【国家財政の危機】「将来不安」を払拭するために何をすべきか 第2節 社会を覆っている「不安」である。*1 「将来不安」を払拭するために何をすべきか というタイトルであるが、日本社会を覆ってい…
アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(23) 今回は、第4章 競争はもっと楽しいものなのだろうか-スポーツ、遊び、娯楽について の続き(p.143~)である。 S.ウォーカーは、こう述べている。「スポーツ選手がここで声を大にして強調する哲学は、ゲームの…
神野直彦『財政学』(28) 今回は、たぶん後で出てくるであろう「累進課税」について考えてみよう。といっても、累進課税の意義・根拠の話ではなく、「税率」の話である。消費税率については、皆さん関心が高く誰もが知っているが、所得税の税率については…
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(98) ※ 当ブログのCOVID-19関連記事リンク集 → https://shoyo3.hatenablog.com/entry/2021/05/06/210000 尾身茂(新型コロナ感染症対策分科会会長)は、2021/9/28の菅総理の記者会見*1において次のよう…
井上達夫『共生の作法-会話としての正義-』(15) 今回は、第2章 エゴイズム 第3節 正義とエゴイズム 2 エゴイズムの問題 の続き(p.51~)である。 井上は、正義は道徳的価値のすべてではなく、一つの道徳的価値であると述べている。そして衡平の概念に…
神野直彦『財政学』(27) 今回は、第12章 租税の分類と体系 の続き(pp.175-180)である。 直接税と間接税 「税法入門」*1によれば、直接税と間接税の区分は、「税金を負担する者と税金を納める者が、同じか異なるかによる分類」である。直接税の代表的な…
伊藤公一朗『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』(6) 今回は、第3章 「境界線」を賢く使うRDデザイン の続きである(p.131~147)。*1 RDデザインにおける仮定が崩れるのはどんな場合か 前回の復習から。「回帰・不連続」(回帰曲線が不連続)の意味…
久米郁男他『政治学』(31) 今回は、第10章 議会、第2節 日本の国会 第2項 法案審議の流れ の続きである。 国会に提出される法案には、内閣が提出する法案(閣法)と、議員が提出する法案(衆法、参法)があり、議員が提出する法案は「議員立法」と呼ば…
山岸俊男監修『社会心理学』(15) 今回は、第3章 社会の中の個人 のうち、社会的アイデンティティ① である。 「アイデンティティ」と言えば、ID card(identity card、身分証明書) を思い浮かべる人が多いだろう。システムにログインするときの「ログイ…
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(97) ※ 当ブログのCOVID-19関連記事リンク集 → https://shoyo3.hatenablog.com/entry/2021/05/06/210000 内田樹が東京新聞の「時代を読む」というコラム(2021/10/3)に、(本の宣伝を兼ねて?)「コロ…
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(96) ※ 当ブログのCOVID-19関連記事リンク集 → https://shoyo3.hatenablog.com/entry/2021/05/06/210000 新規感染者数&新規死者数(100万人当り、7日移動平均) 左縦軸は、人口100万人あたりの新規感…
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(95) ※ 当ブログのCOVID-19関連記事リンク集 → https://shoyo3.hatenablog.com/entry/2021/05/06/210000 以下は、(厚労省)新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(速報値)*1より、「年代別累計死…